「自己破産の手続きが始まったら、普段通りの生活はできなくなるの?」
「何か特別な制限があって、息苦しい毎日を送らないといけないのでは…」
弁護士に自己破産を依頼し、いざ手続きが始まると、今度は日々の生活で何をどう注意すれば良いのか、新たな不安が生まれるかもしれません。
結論から申し上げますと、自己破産の手続き中であっても、あなたの生活が著しく制限されるわけではありません。給料で日用品を購入したり、家賃を支払ったりする基本的な生活は、これまで通り送ることができます。しかし、手続きをスムーズに進め、最終目的である「免責(借金の免除)」を確実に勝ち取るためには、絶対に守らなければならないいくつかの重要な注意点が存在します。
この記事では、自己破産の手続き中の生活における「やってはいけないNG行動」と、逆に「意識してやるべきこと」を、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
【大前提】手続き中も基本的な生活は送れます
まずご安心いただきたいのは、弁護士に依頼し受任通知が発送されれば、債権者からの取り立てはストップします。返済に追われる日々は終わり、落ち着いて生活の立て直しに専念できます。勤務先から受け取る給料はご自身で管理し、食費や光熱費、家賃などの支払いに充てていただくことは全く問題ありません。
【最重要】免責不許可につながるNG行動5選
以下の行動は、裁判所から「反省していない」「不誠実である」と判断され、借金がゼロにならない「免責不許可」のリスクを格段に高めてしまいます。絶対に避けてください。
① 財産を隠す・勝手に処分する(財産隠匿)
「この財産だけは手元に残したい」という気持ちから、預金を家族名義の口座に移したり、車や不動産を安く知人に譲ったりする行為は、絶対にしてはいけません。財産隠しは、免責が許可されない最大の原因となるだけでなく、「詐欺破産罪」という刑事罰の対象にもなる極めて悪質な行為です。すべての財産は、正直に弁護士と裁判所に申告してください。
② 特定の債権者にだけ返済する(偏頗弁済)
「お世話になった親族や友人から借りた分だけは返したい」というお気持ちは察しますが、この行為も固く禁じられています。自己破産は、すべての債権者を平等に扱わなければならないという「債権者平等の原則」に基づいています。特定の債権者だけを優遇する行為は、この原則に反するため、免責が認められなくなる可能性があります。
③ 新たな借金やクレジットカードの利用
自己破産の手続き中に、新たな借金をすることは許されません。生活が苦しい場合でも、安易に消費者金融から借り入れたり、クレジットカードを利用(特にショッピング枠の現金化)したりすると、「返済する意思がないのにお金を借りた」と判断され、免責に重大な支障をきたします。
④ ギャンブルや過度な浪費
パチンコや競馬などのギャンブル、高価なブランド品の購入、頻繁な外食や旅行といった浪費行為は、借金の原因が何であれ、手続き中は厳に慎むべきです。生活再建への意欲が疑われ、反省していないと見なされてしまいます。
⑤ 裁判所や管財人に嘘をつく
財産や借金の経緯について、裁判所や破産管財人に対して嘘の申告や説明をすることは、手続きへの信頼を根底から覆す行為です。不審な点があれば徹底的に調査され、最終的に嘘が発覚すれば、免責は極めて困難になります。
生活上の具体的な注意点
引越しや長期の旅行
自己破産の手続き中、特に財産調査が行われる「管財事件」では、裁判所の許可なく住所を変更(引越し)したり、長期の旅行や出張に行ったりする場合は事前の許可が必要となります。予定がある場合は、必ず事前に弁護士にご相談ください。
郵便物の取り扱い
「管財事件」になると、あなた宛の郵便物が一時的に破産管財人の事務所へ転送されます。これは、申告していない財産や債権者がないかを調査するためです。手続き上必要なものであり、中身をすべて見られた後、ご自身の手元に返却されます。
一部の職業に就けなくなる「資格制限」
手続き期間中、警備員、保険募集人、貸金業者など、他人の財産を扱う一部の職業に就くことが一時的に制限されます。ただし、この制限は免責許可決定が確定すれば解除(復権)されます。
手続き中に意識して「やるべきこと」
NG行動を避けるだけでなく、以下のことを意識すると、手続きはよりスムーズに進みます。
- 弁護士との緊密な連絡:些細なことでも、判断に迷うことがあればすぐに弁護士に報告・連絡・相談をしてください。
- 家計簿をつける:日々の収支を記録し、ご自身の家計を管理する姿勢は、裁判所や管財人に生活再建への意欲を示す上で非常に有効です。
- 誠実な対応を心がける:手続きに関わるすべての人に対し、真摯な態度で接することが、最終的にあなた自身の利益に繋がります。
当事務所は、皆様の複雑な自己破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。
②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
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当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
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