親の介護費用が原因の借金と自己破産|免責は認められる?
「親の介護費用がかさんで、自分の生活費をまかなうために借金をしてしまった」
「最初は少しのつもりだったが、介護が長引いて借金が返せない額に膨らんでしまった」
「介護というやむを得ない理由でも、自己破産は認められるのだろうか?」
このようなお悩みは横須賀・逗子葉山・三浦エリアのお客様からもよく相談されます。
高齢化社会において、親御様の介護費用負担は非常に深刻な問題です。介護施設への入所費用、医療費、オムツ代など、公的な介護保険だけでは賄いきれない費用は多く、それをご家族が負担した結果、借金に頼らざるを得なくなるケースは少なくありません。
ご自身の浪費ではなく、ご家族のために作った借金であっても自己破産ができるのか、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
結論:親の介護費用が原因の借金でも自己破産は可能です
まず結論から申し上げますと、親御様の介護費用を支払うために作った借金が原因であっても、自己破産の手続きを行い、免責(借金の返済義務を免除してもらうこと)を得ることは十分に可能です。
自己破産は、借金の返済が不可能な状態(支払不能)であれば、原則として誰でも利用できる手続きです。破産法では、借金の理由が「浪費」や「ギャンブル」である場合を「免責不許可事由」として定めていますが、親の介護費用を負担することは、これらに一切該当しません。
むしろ、裁判所から見ても「やむを得ない事情」として同情的に受け取られることが多く、手続きが不利になることはありませんのでご安心ください。
介護費用で借金が増える典型的なパターン
介護費用が原因でご相談に来られる方には、以下のような共通のパターンが見られます。
1. 介護サービス費用の立て替え
親御様の年金だけでは介護施設の月額利用料や介護サービス費を賄いきれず、不足分をご自身(お子様)がクレジットカードで支払ったり、カードローンで借りて補填したりするケースです。これが数ヶ月〜数年と続くと、利息も膨らみ、ご自身の返済能力を超えてしまいます。
2. 介護離職による収入の減少
親御様を在宅で介護するために、ご自身が仕事を辞めたり、勤務時間を減らしたり(介護離職)した結果、収入が激減するケースです。ご自身の生活費が足りなくなり、それを補うために借金を重ねてしまうパターンです。
自己破産手続きにおける注意点
介護費用のための借金で自己破産をすること自体に問題はありませんが、手続きを進める上でいくつか注意すべき点があります。
1. 親の財産を動かさない・隠さない
自己破産をするのは、あくまで「借金をしたご自身(お子様)」です。親御様ではありません。
「親に迷惑がかかるかもしれない」と考え、破産直前に親御様名義の預金をご自身に移したり、親御様名義の不動産を売却して借金返済に充てたりすることは、絶対にしないでください。
特に、ご自身の借金返済のために親御様の財産を使ってしまうと、親御様の財産を不当に減少させたとして、破産管財人から問題視される可能性があります。
ご自身の財産と親御様の財産は、明確に分けて申告する必要があります。
2. 介護費用も「債権者」として扱う
もし、介護施設や病院への支払いがすでに滞っており、それも借金(未払金)となっている場合、その介護施設や病院も「債権者」として裁判所に申告する必要があります。
「今後もお世話になるから」と、介護施設にだけ優先的に支払い(偏頗弁済:へんぱべんさい)をすると、他の債権者との公平を害するとして、免責が認められなくなるリスクがあります。
弁護士に依頼した後は、全ての支払いをストップし、弁護士の指示に従ってください。
自己破産が親の介護サービスに与える影響は?
「自分が破産したら、親が受けている介護サービスが止められてしまうのでは?」と心配される方が非常に多いですが、その心配はほとんどありません。
- 公的介護保険サービス:
公的な介護保険(デイサービスやショートステイなど)は、親御様ご本人の要介護度に基づいて提供される社会保障です。代金の未払いが無い限り、ご家族が自己破産したことを理由に、サービスが打ち切られることは一切ありません。 - 私的な介護施設(有料老人ホームなど):
問題となるとすれば、私的な施設との契約で、ご自身が「連帯保証人」になっている場合です。この場合、施設側から「保証能力を失った」として、代わりの保証人を立てるよう求められる可能性があります。
いずれにせよ、代金の未払いが無い限り親御様が即座に施設を退去させられるような事態になることは稀ですが、事前に弁護士と対応を協議しておくことが重要です。
借金が膨らみすぎる前にご相談ください
介護費用による借金は、ご自身の責任感の強さゆえに発生することが多い問題です。「親のためだから」と一人で抱え込み、ご自身の生活が立ち行かなくなる「共倒れ」の状態になってしまっては元も子もありません。
借金の返済が苦しくなってきた時点で早めに弁護士に相談すれば、自己破産以外にも、個人再生や任意整理といった他の選択肢が取れる可能性もあります。
何よりも、弁護士に依頼すれば、債権者からの督促が止まります。まずは精神的な平穏を取り戻し、ご自身の生活と親御様の介護をどう両立させていくかを冷静に考える時間を作ることが大切です。
当事務所が破産・債務整理で選ばれる理由
当事務所は、皆様の複雑な破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。
②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
③ 報酬分割支払前でも速やかな対応
多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください
親御様の介護とご自身の借金問題、どちらも一人で抱え込むには重すぎる問題です。法的な手続きによって借金問題をリセットし、安定した生活基盤の上で改めて親御様の介護と向き合う体制を整えることが最善の道であるケースも多いです。
横須賀・逗子葉山・三浦エリアで借金問題にお悩みの方は、当事務所の無料相談をご利用ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員


