自己破産すると子供の奨学金の保証人になれない?
「自分が自己破産をしたら、子供が奨学金を借りる時に保証人になれないのだろうか?」
「破産したことが原因で、子供の進学に影響が出てしまったらどうしよう…」
「もし今、奨学金の保証人になっている状態で自己破産したらどうなる?」
このようなお悩みは横須賀・逗子葉山・三浦エリアのお客様からもよく相談されます。
ご自身の借金問題で、お子様の将来や進学の機会にまで影響が及ぶのではないかとご不安になるお気持ちは、痛いほどよく分かります。
自己破産の手続きと、奨学金の「保証人」になるための要件には、密接な関係があります。この点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
結論:自己破産後、一定期間は保証人になれません
結論から申し上げますと、破産して復権していない方は、お子様の奨学金の保証人(人的保証)になることはできません。(※なお、日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金は、保証機関が連帯保証する「機関保証」と、親などが保証人になる「人的保証」のいずれかを選択する仕組みのため、機関保証を選べば親が保証人になる必要はありません)
また、住宅ローンやカーローンなど一般の「保証人」契約では、自己破産後5年~7年程度は信用情報の事故情報登録により、保証人の審査に通ることが難しくなります。
なぜ保証人になれないのか?
日本学生支援機構(JASSO)をはじめとする奨学金の貸与機関は、保証人を引き受ける人(この場合は親御様)に「万が一、子供が返済できなくなった場合に、代わりに返済できる能力があるか」を審査します。
破産して復権していない方は、JASSOの定める連帯保証人・保証人の要件を満たさないため、選任することができません。これは、信用情報機関への照会によるものではなく、JASSOの定める要件によるものです。
他方、銀行の教育ローンなど一般の金融機関では、保証人の審査の際に「信用情報機関(CIC、JICCなど)」に登録されている個人の信用情報が照会されます。自己破産をすると、その事実が「事故情報」として信用情報機関に登録され(いわゆる「ブラックリスト」に載る状態)、手続き後5年~7年程度(機関によって異なる)は抹消されません。この記録がある間は、「(保証人としての)返済能力がない」と判断され、保証人として認められないのが通常です。
対処法:保証人になれない場合の選択肢
「では、親が自己破産したら子供は奨学金を借りられないのか?」と絶望する必要はありません。自己破産をされた方のお子様であっても、奨学金を利用する方法はちゃんと用意されています。
1. 「機関保証制度」を利用する
機関保証を選択すれば、親族に保証人を頼む必要はなく、最も確実な方法です。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には保証の制度が2種類あり、申込時にいずれかを選択します。
- 人的保証:親族(原則として父母)に「連帯保証人」と「保証人」になってもらう方法。
- 機関保証:一定の保証料を奨学金から差し引いて支払うことで、保証機関(公益財団法人日本国際教育支援協会)に保証をしてもらう方法。
この「機関保証」の場合、親御様の信用情報は一切審査されません。(審査されるのは、奨学金を借りるお子様本人の情報のみです)
したがって、親御様が自己破産の手続き中であっても、手続き後であっても、お子様は問題なく奨学金を借りることができます。保証料はかかりますが、保証人を探す手間や精神的な負担がありません。
2. 自己破産をしていない配偶者や他の親族に依頼する
(※こちらは、機関保証ではなく人的保証を選択する場合や、人的保証が必要な民間の教育ローン等の場合の選択肢です。)
もし、ご夫婦のうち一方が自己破産し、もう一方(配偶者)が自己破産しておらず、安定した収入がある場合は、その配偶者が連帯保証人になることができます。
また、人的保証では「連帯保証人(原則として父または母)」のほかに、「保証人(4親等以内の親族)」も必要となります。この場合も、自己破産をしておらず収入要件を満たす他の親族(祖父母、おじ・おば等)に依頼することになります。
注意点:すでに保証人になっている状態で自己破産する場合
「これから保証人になる」のではなく、「すでに子供の奨学金の保証人になっている」状態で親御様が自己破産する場合は、全く異なる問題が発生します。
この場合、親御様が負っている「保証債務(子供が返せなかった時に払う義務)」も、自己破産の対象となる「借金」の一つとして扱われます。日本学生支援機構(JASSO)は、破産手続きにおける「債権者」となります。
手続きが完了し、免責が許可されれば、親御様の保証人としての支払い義務はなくなります。
しかし、JASSOは「保証人が支払い能力を失った」と判断し、奨学金を借りているお子様(主たる債務者)に対し、「別の保証人を立てる(保証人の変更)」よう要求します。
もし、代わりの保証人を立てることができない場合、JASSOから奨学金の貸与を打ち切られたり、場合によっては一括返済を求められたりするリスクもゼロではありません。
すでにお子様の保証人になっている方が自己破産を検討される場合は、このリスクをお子様にどう説明し、どう対処するか(機関保証への切り替えが可能かなど)を、必ず事前に弁護士と詳細に打ち合わせる必要があります。
まとめ
親御様が自己破産をした(する)という理由だけで、お子様が進学を諦める必要は全くありません。「機関保証制度」という、人的保証を必要としない仕組みが用意されています。
ただし、すでに保証人になっている場合は、お子様への影響(保証人の変更要求)が発生します。自己破産は、ご自身の生活を再建するための正当な権利ですが、こうした周囲への影響も考慮しながら、最適なタイミングと方法で手続きを進めることが重要です。
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広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。破産・債務整理事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、税務・登記を含めた多角的な視点から、依頼者の生活再建にとって最善となる解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年4月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年4月 神奈川県弁護士会常議員
共著書:『遺留分の法律と税務』(第9章 遺留分の放棄の一部)


