自己破産とは?弁護士がわかりやすく解説する基本のすべて

「借金が返せない…もう人生終わりだ…」
「自己破産という言葉は聞くけど、具体的にどうなるのか怖くて聞けない」
「家族や会社に知られずに、今の苦しい状況から抜け出す方法はないだろうか…」
多額の借金を抱え、返済の目処が立たないとき、多くの方がこのような不安と絶望感に苛まれます。しかし、自己破産は決して「人生の終わり」ではありません。むしろ、法律で認められた、借金の苦しみから解放され、人生を再スタートさせるための正当な手続きです。
しかし、その一方で、手続きの内容や破産後の生活について、多くの誤解や不正確な情報が出回っているのも事実です。
この記事では、借金問題で悩むあなたが、自己破産について正しく理解し、ご自身の未来のために最善の選択をするための一助となるよう、自己破産の基本を税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
自己破産とは、人生をリセットするための国の救済制度です
自己破産とは、裁判所に申立てを行い、「免責許可決定」を得ることで、税金などを除くほとんどすべての借金の支払い義務を免除してもらう手続きのことです。
財産や収入が不足し、どうしても借金の返済が不可能になった場合に、債務者を救済し、経済的な立ち直りの機会を与えることを目的としています。これは、破産法という法律で定められた、国による正式な救済制度です。
自己破産の4つの大きなメリット
自己破産には、デメリットばかりが強調されがちですが、それを上回る大きなメリットがあります。
借金の支払い義務がなくなる
これが最大のメリットです。裁判所から免責が許可されれば、消費者金融、銀行カードローン、クレジットカードなどの借金は、法的に支払う必要がなくなります。
債権者からの督促・取り立てが止まる
弁護士に依頼した時点で、貸金業者からの電話や手紙による厳しい督促は即座にストップします。精神的なプレッシャーから解放され、落ち着いて生活の再建に集中できます。
一定の財産は手元に残せる
生活に必要な家財道具や、99万円以下の現金などは「自由財産」として手元に残せる可能性があります。すべての財産を失うわけではありません。
収入に関する要件がない
後述する個人再生や任意整理と違い、手続きの利用にあたって「安定した収入があること」は条件とされていません。現在無職の方や、収入が不安定な方でも利用できます。
知っておくべき自己破産のデメリット
もちろん、自己破産にはデメリットも存在します。正しく理解し、ご自身の状況と照らし合わせることが重要です。
- 高価な財産は原則として処分される
持ち家(不動産)や、価値の高い自動車、解約返戻金が20万円を超える生命保険などは、原則として処分され、債権者への配当に充てられます。 - 信用情報機関に登録される(ブラックリスト)
約5年~7年間、信用情報機関に事故情報が登録されるため、その期間は新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが難しくなります。 - 一部の職業・資格に制限がかかる
手続き期間中、警備員、保険外交員など、一部の職業に就くことができなくなります。ただし、この制限は免責許可が確定すれば解除されます。 - 官報に掲載される
国が発行する「官報」という機関紙に、住所と氏名が掲載されます。ただし、一般の方が日常的に官報を見ることはまずなく、ここから周囲の人に知られる可能性は極めて低いと言えます。
自己破産の手続きの流れ(弁護士に依頼した場合)
- 弁護士に相談・依頼:現状を詳しくお伺いし、最適な方針を決定します。
- 受任通知の発送:弁護士が債権者に通知を送り、督促をストップさせます。
- 必要書類の準備:裁判所に提出する申立書類を、弁護士がサポートしながら作成します。
- 裁判所への破産申立て:管轄の裁判所(横須賀エリアなら横浜地方裁判所 横須賀支部)に申立てを行います。
- 破産手続開始決定:裁判所が申立てを受理し、手続きが正式にスタートします。
- (管財事件の場合)破産管財人による調査:財産の調査や換価、債権者への配当などが行われます。
- 免責許可決定:裁判所が借金の免除を最終的に決定します。これにより、手続きは完了です。
【重要】こんな理由の借金でも自己破産できる?
「ギャンブルや浪費が原因の借金は、破産できないと聞いた…」
これは、多くの方が誤解している点です。確かに、ギャンブルや浪費は「免責不許可事由」と定められており、原則として免責が許可されない理由にあたります。
しかし、実務上は、裁判官の判断で免責を許可する「裁量免責」という制度が広く運用されており、本人が深く反省し、手続きに誠実に協力すれば、ほとんどのケースで免責が認められています。決して諦める必要はありません。
自己破産に関するよくあるご質問
- 会社をクビになりますか?
- 個人的な事情である自己破産は、解雇の理由とはいえないため、会社を解雇となる可能性は低いといえるでしょう。
- 給与を差し押さえられていますが、解決できますか?
- はい、解決できます。自己破産の手続きを開始すれば、給与差し押さえは停止・失効します。一刻も早くご相談ください。
>>給与を差し押さえられてしまった方はこちら - 昔経営していた会社があるのですが、個人で破産できますか?
- 会社の連帯保証人になっている場合が多く、法人と個人を同時に破産させる必要があります。放置すると後で問題になるため、必ず弁護士にご相談ください。
>>個人で破産したいけど法人(会社)がある方はこちら
当事務所は、皆様の複雑な問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。
②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
③グループ内で連携したワンストップサービス
当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
借金問題にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください
借金問題は、一人で抱え込んでも解決しません。専門家である弁護士に相談することが、あなたの人生を再スタートさせるための最も確実な第一歩です。
当事務所は、横須賀という地域に根ざしながら、皆様の経済的再建を全力でサポートいたします。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。経験豊富な弁護士が、あなたのお悩みを丁寧にお伺いします。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員