「自己破産をすると、人としての権利の一部がなくなってしまう…」
「選挙権が停止されるという話を聞いたけれど、本当なのだろうか?」

インターネットや人づての噂の中には、自己破産に関する多くの誤った情報、いわゆる「デマ」が溢れています。その中でも特に根強く、多くの方を不安にさせているのが、「選挙権を失う」というものです。

最初に、そして最も重要なこととして断言します。自己破産をしても、あなたの選挙権(投票する権利)や被選挙権(立候補する権利)がなくなることは一切ありません。これは、法律の専門家として保証します。

この記事では、なぜこのようなデマが信じられているのか、その背景を解き明かし、自己破産と国民の権利に関する真実を、Q&A形式も交えて税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

【Q&A】自己破産と選挙権に関する疑問にお答えします

Q1. 自己破産をすると、本当に選挙権はなくならないのですか?

A1. はい、なくなりません。
選挙権は、日本国憲法で保障された国民固有の基本的人権です。この権利が制限されるのは、公職選挙法に定められた非常に限定的なケース(例えば、選挙違反などの罪で刑に処せられた場合など)のみです。「自己破産をしたこと」は、そのいずれにも該当しません。

Q2. なぜ「選挙権がなくなる」というウソが広まっているのですか?

A2. 主に「資格制限」という別の制度と混同されているためと考えます。
自己破産の手続き中、弁護士や警備員、保険募集人など、他人の財産を扱う一部の職業に一時的に就けなくなる「資格制限」という制度があります。この「一部の資格が制限される」という話が歪んで伝わり、「選挙権という基本的な権利まで制限される」という大きな誤解に繋がったと考えられます。

Q3. 破産すると戸籍や住民票に記録が残るのではないですか?

A3. いいえ、残りません。
自己破産の事実が、あなたの戸籍や住民票に記載されることは一切ありません。本籍地の役場に破産者名簿というものが作られることがありますが、これは非公開であり、第三者が自由に閲覧することはできません。もちろん、選挙の入場券が届かなくなるということもありません。

自己破産は「罰」ではない!権利を奪う制度ではありません

こうした誤解の根底には、「借金=悪いこと」「破産=罰」というイメージがあるのかもしれません。しかし、法律上の考え方は全く異なります。

自己破産は、借金で経済的に立ち行かなくなった方を救済し、再起を助けるための「民事上の制度」です。犯罪行為に対する「刑事罰」とは全く性質が異なり、国民の基本的人権を奪うものではありません。

選挙権の心配はもちろん、不必要な罪悪感や恐怖心から、ご自身の人生を再建する機会を逃してしまうことだけは避けるべきです。

【早見表】自己破産で本当に影響があること・ないこと

ここで改めて、自己破産で影響があることと、誤解されがちな影響がないことを整理しておきましょう。

項目 結論
選挙権・被選挙権 影響なし。完全に維持される。
戸籍・住民票への記載 影響なし。記載されない。
年金・生活保護の受給 影響なし。問題なく受給できる。
家族への影響 保証人でない限り、影響なし。
資格制限 一部の職業で手続き中に一時的な制限あり。
信用情報(ブラックリスト) 約5~7年間、ローン等が組めなくなる。

正しい知識を持てば、自己破産は決して怖い制度ではないことがお分かりいただけるかと思います。誤った情報に惑わされず、専門家と一緒に、ご自身の生活再建に向けた正しい一歩を踏み出しましょう。


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1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。

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