自己破産するとETCカードは利用できない？ETCパー-ソナルカードとは？

「仕事で毎日車に乗るのに、ETCカードが使えなくなったら困る…」
「自己破産すると、クレジットカードと一緒にETCカードも解約されるの？」

車を頻繁に利用する方にとって、高速道路の料金所をスムーズに通過できるETCカードは、もはや生活必需品と言っても過言ではありません。自己破産によって、この利便性が失われてしまうのではないかと心配されるのは当然のことです。

結論から申し上げますと、クレジットカードに付帯しているETCカードは、自己破産の手続きを開始すると、その元となるクレジットカードと共に利用できなくなります。しかし、完全にETCが利用できなくなるわけではなく、「ETCパーソナルカード」という有効な代替手段があります。

この記事では、なぜETCカードが使えなくなるのか、そのタイミングと、自己破産後もETCを使い続けるための具体的な解決策について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

なぜ自己破産でETCカードが使えなくなるのか？

現在、日本で発行されているETCカードのほとんどは、クレジットカードの「付帯カード」として発行されています。ETCの利用料金は、一旦クレジットカード会社が立て替え、後日カード利用代金として請求される「後払い（クレジット）」の仕組みです。

自己破産の手続きを開始すると、弁護士からクレジットカード会社へ「受任通知」が送付されます。これを受け取ったカード会社は、あなたのクレジットカードを強制的に解約します。そして、親カードであるクレジットカードが解約されれば、それに付帯する子カードであるETCカードも、自動的に効力を失い、利用できなくなるのです。

【重要】弁護士に依頼した後は、速やかに車載器からETCカードを抜き取ってください。利用できないカードを挿入したまま料金所に進入すると、ゲートが開かず追突事故などの原因となり、大変危険です。

解決策！「ETCパーソナルカード」という選択肢

クレジットカードが持てなくても、ETCを利用する方法はあります。それが「ETCパーソナルカード（通称：ETCパソカ）」です。

ETCパーソナルカードは、高速道路会社が発行している、クレジット機能のないETC専用カードです。信用情報（ブラックリスト）の審査がないため、自己破産の手続きをした方でも作ることができます。

ETCパーソナルカードの仕組み

このカードは、後払いのクレジットカードとは異なり、事前に「デポジット（保証金）」を預託することで発行されます。毎月の利用料金は、指定した銀行口座から1ヶ月単位で引き落とされます。デポジットはあくまで保証金であり、通行料金がそこから引かれるわけではありません（解約時には返金されます）。

ETCパーソナルカードの申込方法と注意点

ETCパーソナルカードは非常に便利なカードですが、申込みにあたり、いくつか知っておくべき点があります。

デポジット（保証金）が必要：申込み時に、月平均利用額の約4倍の額をデポジットとして預ける必要があります。例えば、毎月5,000円程度利用する方であれば、20,000円のデポジットが必要です。最低デポジット額は3,000円から設定されています。
年会費がかかる：カード1枚あたり、数千円の年会費が必要です。
発行までに時間がかかる：申込書を郵送し、デポジットを振り込んでからカードが手元に届くまで、1ヶ月程度かかる場合があります。

申込書は、高速道路のサービスエリアなどに置かれているほか、ETCパーソナルカードのウェブサイトからも取り寄せることができます。