「自己破産をしたら、老後の生活の支えである年金まで差し押さえられてしまうのでは…」
「将来、年金を受け取る権利そのものがなくなってしまうのではないか…」

借金問題で将来に不安を抱える中で、最後のセーフティーネットである年金まで失うかもしれないという恐怖は、計り知れないものがあります。特に、年金受給が間近な方や、すでに年金で生活されている方にとっては、死活問題です。

結論として、ご安心ください。自己破産をしても、あなたが将来受け取る公的年金(国民年金・厚生年金)の受給権が失われたり、現在受給中の年金が差し押さえられたりすることは一切ありません。

この記事では、なぜ年金が自己破産の影響を受けないのか、その法的な根拠と、注意すべき「私的年金」との違いについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

公的年金が保護される法的根拠

国民年金や厚生年金といった「公的年金」を受け取る権利は、法律によって守られています。これらの年金受給権は、個人の生活を支えるための最低限の権利に直結するため、「差押禁止財産い」として、自己破産の手続きにおいても処分や差押えが厳しく禁じられています。

具体的には、以下の法律で明確に定められています。

  • 国民年金法 第24条:給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
  • 厚生年金保険法 第41条:保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

【要注意】「私的年金」と振り込まれた「後の」預金の扱い

公的年金は絶対的に保護されますが、注意が必要な点が2つあります。

① 私的年金の扱い

ご自身で任意に加入する「私的年金」は、その種類によって扱いが異なります。

  • 確定拠出年金(企業型DC、iDeCo):これらも法律で差押えが禁止されているため、自己破産をしても財産として扱われず、守られます。
  • 個人年金保険:生命保険会社などで加入する個人年金保険は、「貯蓄型の生命保険」と同じ扱いになります。保険を解約した場合に戻ってくる「解約返戻金」が財産と見なされ、その額が20万円を超える場合は、原則として解約の対象となる可能性があります。

② 年金が振り込まれた「後」の預金の扱い

これは非常に重要なポイントです。年金そのものは差押禁止ですが、年金があなたの銀行口座に振り込まれ、他の生活費などと混ざってしまうと、そのお金は法的に「預金」という財産に性質が変わります。

自己破産の手続きでは、預金残高が20万円を超えると、その超えた部分が処分の対象となる可能性があります(管財事件の場合)。例えば、年金の振込口座に給与なども振り込まれ、残高が常に数十万円あるような状態だと、その一部が配当に回される可能性があります。

年金受給者の自己破産 Q&A

Q. 年金収入しかありませんが、自己破産はできますか?
A. はい、全く問題なくできます。むしろ、年金という安定した収入があることで、手続き後の生活再建計画が立てやすいと判断される場合もあります。
Q. 滞納している国民年金保険料は、自己破産で免除されますか?
A. いいえ, 免除されません。税金や社会保険料(年金保険料、健康保険料など)は「非免責債権」といい、自己破産をしても支払義務はなくなりません。役所と相談し、分割で支払っていく必要があります。

年金に関する不安は、あなたの老後の生活設計に直結する重要な問題です。誤った情報に惑わされず、正しい知識を持ってご自身の権利を守りましょう。


当事務所は、皆様の複雑な自己破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。

①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験

1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。

②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応

破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。

③ 報酬分割支払前でも速やかな対応

多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。


自己破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。