「管財事件」と「同時廃止」の違いとは?手続きの流れと期間

「自己破産の手続きには、二種類あると聞いたけど…」
「自分がどちらの手続きになるのか、どうやって決まるの?」
「費用や期間が、大きく違うって本当?」
自己破産について調べ始めると、必ず目にするのが「管財事件(かんざいじけん)」と「同時廃止(どうじはいし)」という専門用語です。この二つは、自己破産の手続きにおける大きな分岐点であり、あなたの手続きの期間、費用、そして内容そのものを大きく左右します。
ご自身の状況がどちらに振り分けられるのかを正しく理解することは、自己破産を検討する上で非常に重要です。
この記事では、自己破産における「管財事件」と「同時廃止」の決定的な違い、手続きの流れ、そして弁護士に依頼するメリットについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
【結論】違いは「破産管財人」が選任され、財産調査や処分が行われるかどうか
二つの手続きの最も大きな違いは、裁判所によって「破産管財人(はさんかんざいにん)」という弁護士が選任されるかどうかにあります。
- 同時廃止 → 破産管財人は選任されない。めぼしい財産がなく、特に調査すべき問題点もない場合のシンプルな手続き。
- 管財事件 → 破産管財人が選任される。一定以上の財産がある、または借金の経緯などに調査が必要な場合の、より丁寧な手続き。
どちらの手続きになるかは、最終的に裁判所があなたの財産状況や借金の理由などを考慮して決定します。
「同時廃止」とは? – 資産がない場合のシンプルな手続き
同時廃止は、破産手続の開始決定と同時に、手続きが終了(廃止)することから、こう呼ばれています。めぼしい財産がないため、それを換価してお金に換え、債権者に配当するプロセスが必要ないからです。
同時廃止になりやすいケース
- 20万円以上の価値がある財産(不動産、車、保険など)を所有していない
- 現金と預貯金の合計が99万円以下である
- 借金の主な原因がギャンブルや浪費ではないなど、調査すべき点(免責不許可事由)がない
手続きの流れと期間
手続きがシンプルであるため、期間は比較的短く、申立てから免責許可決定まで4ヶ月~6ヶ月程度が一般的です。
費用
破産管財人が選任されないため、裁判所に納める費用(予納金)が1万円~3万円程度と、管財事件に比べて大幅に安く済みます。
「管財事件」とは? – 資産がある場合や調査が必要な場合の手続き
管財事件では、裁判所が選任した破産管財人が、あなたの財産を調査・管理・換価処分し、債権者へ公平に配当します。また、借金の経緯を調査し、免責を許可してよいかどうかの意見を裁判所に報告する重要な役割も担います。
管財事件になりやすいケース
- 持ち家や土地などの不動産を所有している
- 20万円以上の価値がある車、生命保険などがある
- 借金の原因がギャンブルや浪費などで、免責不許可事由の調査が必要な場合
- 個人事業主や、法人の代表者であった場合
手続きの流れと期間
財産の調査・換価や債権者集会などが行われるため、手続きは複雑になり、期間も長くなります。申立てから免責許可決定まで6ヶ月~1年程度、場合によってはそれ以上かかることもあります。
費用
破産管財人の報酬となる費用を、裁判所に予納金として納める必要があります。金額は事案によって異なりますが、最低でも20万円以上(少額管財の場合)が必要となります。
【弁護士依頼のメリット】費用と期間を抑える「少額管財」とは
管財事件には、実は「少額管財」と、より本格的な「特定管財(通常管財)」の2種類があります。そして、この少額管財こそ、弁護士に依頼する大きなメリットの一つです。
少額管財は、申立て代理人である弁護士が事前に詳細な調査を行い、裁判所や管財人の業務負担を軽減することを前提とした、簡略化された管財事件です。
弁護士に依頼することで、予納金を最低20万円程度に抑え、手続き期間も短縮できる「少額管財」を利用できる可能性が非常に高くなります。ご自身で申立てを行った場合、予納金が50万円以上必要となる特定管財(通常管財)になることがほとんどです。
一覧表で見る「同時廃止」と「管財事件」の違い
同時廃止 | 少額管財 | 特定管財(通常管財) | |
---|---|---|---|
基準 | 資産・問題点なし | 資産・問題点あり(軽微) | 資産・問題点あり(複雑) |
破産管財人 | 選任されない | 選任される | 選任される |
費用(予納金) | 約1~3万円 | 約20万円~ | 約50万円~ |
期間の目安 | 約4~6ヶ月 | 約6~12ヶ月 | 1年以上 |
弁護士代理 | 必須ではないが推奨 | 推奨 | 必須ではないが強く推奨 |
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借金問題にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください
ご自身のケースが「同時廃止」になるのか、それとも「管財事件」になるのかは、人生の再スタートに向けた計画を立てる上で非常に重要です。正確な見通しを立てるためには、専門家である弁護士への相談が不可欠です。
当事務所は、横須賀という地域に根ざしながら、皆様の経済的再建を全力でサポートいたします。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。経験豊富な弁護士が、あなたのお悩みを丁寧にお伺いします。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員