「手軽に始められるFXや株式投資。レバレッジ取引や信用取引で大きな損失を出し、気づけば返済できないほどの借金を抱えてしまった…」
「投資の失敗は自己責任。こんな理由で自己破産なんて認められないのでは…」
近年、スマートフォン一つで誰でも気軽に始められるようになったFXや株式投資。しかし、その手軽さの裏で、ハイリスクな取引にのめり込み、多額の借金を負ってご相談に来られる方が後を絶ちません。
投資の失敗による借金も、自己破産によって解決できる可能性は十分にあります。たしかにFXや信用取引などは「免責不許可事由」にあたりますが、「裁量免責」という制度によって、ほとんどの方が免責許可を得て人生を再スタートしています。
この記事では、投資による借金が自己破産でどのように扱われるのか、そして借金をゼロにする「裁量免責」を勝ち取るために何が重要なのか、そのポイントを税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
なぜ投資の失敗が「免責不許可事由」になるのか?
自己破産の法律(破産法)では、免責を許可すべきでないケースとして「免責不許可事由」を定めています。そして、その一つに「浪費又は賭博その他の射幸行為」が挙げられています。
FXのレバレッジ取引や株式の信用取引のように、手元の資金を大きく超える規模の取引は、その投機性の高さから、この「射幸行為」の一種と見なされるのです。そのため、これらの失敗による借金は、原則として免責不許可事由に該当し、手続きは必ず破産管財人が選任される「管財事件」となります。
解決の鍵「裁量免責」を得るための具体的な行動
免責不許可事由に該当しても、裁判官が「一切の事情を考慮して」免責を許可するのが「裁量免責」です。この裁量免責を得るためには、破産管財人と裁判官に対し、あなたが真摯に反省し、生活再建への強い意欲があることを、具体的な行動で示す必要があります。
① 破産管財人への誠実な協力と「すべての」情報開示
破産管財人は、あなたのお金の流れを徹底的に調査します。調査への協力は絶対です。特に、すべての証券・FX口座の取引履歴の提出は必須です。一部の口座を隠したり、不利な取引履歴を隠蔽したりする行為は「財産隠し」「虚偽説明」と見なされ、免責は絶望的になります。たとえ損失の記録であっても、正直にすべてを開示してください。
② 真摯な反省の態度を示す(反省文・家計簿)
なぜハイリスクな投資に手を出してしまったのか、それによって債権者や家族にどのような迷惑をかけたのか、そして二度と繰り返さないという決意を、ご自身の言葉で「反省文」に綴り、提出します。また、手続き期間中は、収入の範囲内で堅実な生活を送っていることを証明するために、「家計簿」を毎日つけることが極めて重要です。
③ 投資との決別と再発防止策
反省を具体的な行動で示すことも大切です。その最も分かりやすい証拠が、利用していた証券口座やFX口座をすべて解約することです。これにより、「もう二度と投機的な取引には手を出さない」という強い決意を、客観的な形で示すことができます。
投資が原因の自己破産でよくある質問(Q&A)
- Q1. NISA口座での取引も問題になりますか?
- A1. はい、問題となり得ます。NISAは税制優遇制度の名称であり、その口座内でどのような取引をしていたかが重要です。NISA口座であっても、ハイリスクな信用取引などを行っていれば、免責不許可事由と判断されます。
- Q2. 損失が出たことを証明する必要はありますか?
- A2. はい、非常に重要です。取引報告書などを提出し、借りたお金が浪費ではなく、確かに投資の失敗で失われたことを証明する必要があります。これにより、お金の使途が明確になり、管財人の調査もスムーズに進みます。
- Q3. 投資で利益が出ていた時期の税金も免責されますか?
- A3. いいえ、免責されません。税金や社会保険料は「非免責債権」であり、自己破産をしても支払義務は残ります。過去の利益に対する未払いの税金がある場合は、別途、税務署との協議が必要です。
投資の失敗は「自己責任」という言葉に縛られ、一人で問題を抱え込んでしまう方が多くいます。しかし、法律は、失敗から学び、誠実に再起を目指す方に、必ず道を開いてくれます。まずは勇気を出して、弁護士にご相談ください。
当事務所は、皆様の複雑な問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。
②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
③ 報酬分割支払前でも速やかな対応
多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
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