「借金問題と夫婦問題が同時にのしかかり、心身ともに限界…」
「離婚もしたいし、自己破産もしたい。でも、何から手をつければいいのか分からない…」
借金問題が、夫婦関係の悪化に繋がることは少なくありません。離婚と自己破産、人生における2つの大きな決断を同時に考えなければならない状況は、計り知れないストレスを伴います。
この2つの手続きは、それぞれが独立した法的手続きですが、密接に関連し合っています。特に、どちらの手続きを先に行うかという「タイミング」の判断を誤ると、財産分与や慰謝料の扱いで、あなたが本来得られるはずだった利益を失うなど、深刻な事態を招きかねません。
この記事では、自己破産と離婚が交差する際の3つの重要ポイント(財産分与・養育費・慰謝料)について、法的にどう扱われるのか、そして「どちらを先に進めるべきか」という戦略的な判断基準を税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
【重要ポイント①】財産分与の扱い
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産を、離婚時に公平に分け合うことです。自己破産との関係では、手続きの順番によって結果が大きく異なります。
離婚より「先に」自己破産をする場合
破産する方の財産(夫婦の共有財産のうち、破産者の持分)は、すべて破産管財人の管理下に置かれ、債権者への配当のために処分されます。そのため、その後に離婚をしても、分与されるべき財産がすでに失われており、配偶者は財産分与をほとんど、あるいは全く受け取れないという事態になります。
自己破産より「先に」離婚をする場合
先に離婚をし、財産分与を確定させた後に自己破産をするケースです。こちらの方が、配偶者は確実に財産を受け取れるように見えます。しかし、注意が必要です。
その財産分与が、分与の範囲として不相当に過大(多すぎる)と判断された場合、破産管財人は、その過大な部分を「財産隠し(詐害行為)」と見なし、「否認権」を行使して配偶者から財産を取り戻すことができます。例えば、本来2分の1ずつ分けるべき不動産をすべて妻に分与した場合などがこれにあたります。
【重要ポイント②】養育費の扱い
お子様のための養育費は、自己破産において特別に保護されています。
支払う側が自己破産した場合
- 将来の養育費:自己破産をしても、支払義務はなくなりません。これまで通り支払い続ける必要があります。
- 未払いの養育費:過去に滞納した養育費も、自己破産では免除されない「非免責債権」です。支払義務は残ります。
つまり、自己破産をしても、お子様に対する養育費の支払義務から逃れることはできません。
受け取る側が自己破産した場合
将来にわたって養育費を受け取る権利は、お子様のための権利であり、あなたの「財産」とは見なされません。したがって、処分の対象となることはありません。
【重要ポイント③】慰謝料の扱い
慰謝料は、その発生原因によって扱いが異なります。
支払う側が自己破産した場合
不貞行為(不倫)、DV(身体的暴力)などが原因の慰謝料支払義務は、「悪意で加えた不法行為」による損害賠償と判断された場合は、「非免責債権」として支払義務が残ります。「悪意で加えた不法行為」によるかの判断は専門的なものですので弁護士にご相談ください。
受け取る側が自己破産した場合
慰謝料を請求する「権利」そのものは、精神的苦痛に対するものであり、原則として財産とは見なされません。しかし、示談や判決で金額が確定したり、すでにお金を受け取ったりした後は、あなたの「財産(債権や預金)」として扱われ、処分の対象となります。
結論:どちらを先にすべきかは、弁護士に相談が必須
ご覧の通り、離婚と自己破産のタイミングには、一概に「こちらが正解」と言えるものはありません。あなたの財産状況、借金の額、離婚の条件、そして何より「何を一番守りたいのか」によって、取るべき戦略は全く異なります。
自己判断で進めてしまうと、取り返しのつかない不利益を被る可能性があります。借金問題と離婚問題の両方に精通した弁護士に相談し、ご自身の状況をすべて正直に話した上で、最善の道筋を決めることが不可欠です。
当事務所は、皆様の複雑な問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。
②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
③ 報酬分割支払前でも速やかな対応
多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
自己破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。