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遺産分割協議中に自己破産は可能か?相続財産(遺産)の扱いや注意点を弁護士が解説

借金の返済に追われている状況で、予期せず親族が亡くなり、遺産相続が発生するケースは少なくありません。

「借金の督促が厳しく、一刻も早く自己破産したいが、まだ遺産分割協議(相続人同士の話し合い)が終わっていない」
「自分が破産したら、相続人としての権利(相続権)まで失ってしまうのではないか?」
「遺産を相続してしまうと、もう自己破産はできなくなるのか?」

このように、相続と自己破産が同時に発生すると、多くの方が疑問や不安を抱えます。特に、遺産分割協議中の自己破産には、手続きの進め方や財産の扱いについて、非常に重要な注意点が存在します。

安易な判断は、他の相続人(ご家族)を巻き込むトラブルや、最悪の場合「免責不許可(借金がゼロにならない)」という事態を招く危険性もあります。

この記事では、遺産分割協議中に自己破産を申立てるとどうなるのか、相続財産の扱いや絶対にやってはいけないことについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

自己破産をしても「相続権」は失われない

まず大前提として、自己破産をした(または申立て中である)という理由で、その人が持つ「相続権(相続人である地位)」そのものが失われることはありません。

あなたが相続人である事実に変わりはありません。

しかし、問題となるのは「相続権」そのものではなく、相続によって得られる(または、得られる可能性のある)「財産(遺産)」の扱いです。

遺産分割協議「未了」のまま自己破産を申立てるとどうなるか?

ここが最も重要なポイントです。遺産分割協議がまだ成立していない(未了の)段階で自己破産を申し立てた場合、その手続きはほぼ確実に「管財事件」となります。

管財事件とは、裁判所が選任した「破産管財人」が、破産者の財産を調査・管理・換価(売却)し、債権者に公平に配当する手続きです。

なぜ管財事件になるのかというと、遺産分割が未了の状態では、破産者は「遺産分割請求権(遺産をどう分けるか協議し、自分の取り分を請求する権利)」という一種の権利(財産)を持っているとみなされるからです。

そして、破産手続開始決定が出ると、この「遺産分割請求権」を含む一切の財産管理権が、破産者本人から破産管財人に移ります。

つまり、破産者本人に代わって、破産管財人が遺産分割協議の当事者として参加することになるのです。

破産管財人は遺産分割協議で何をするのか?

破産管財人の職務は、債権者の利益を守るため、破産者の財産を法に基づいて適正に確保し、配当することです。

したがって、管財人は遺産分割協議において、原則として「破産者の法定相続分」を確保するよう主張します。

例えば、相続人が配偶者と子2人(うち1人が破産者)で、遺産が預金2,000万円だった場合、破産者の法定相続分は1/4(=500万円)です。管財人はこの500万円を破産者の財産(破産財団)として確保しようとします。

他の相続人がこれに同意しない場合、管財人は家庭裁判所に「遺産分割調停・審判」を申し立てることも法的に可能です。

こうして確保された財産(法定相続分)は、破産手続きの費用を差し引いた後、債権者への配当に充てられます。

絶対にやってはいけないこと:不利な分割協議

借金を抱えた相続人の方が、最もやってしまいがちな危険な行為がこれです。

「自分が破産することで、他の家族(相続人)に迷惑をかけたくない」
「自分が相続分をもらってもどうせ債権者に取られるなら、最初から妻や兄弟に多く相続させたい」

このような考えから、自己破産の申立て直前に、以下のような行為をしないでください。

  • 「自分の相続分はゼロ(または法定相続分より極端に少ない)」とする遺産分割協議書に署名・捺印する

これらの行為は、破産法上、債権者を害する「財産隠し」または「詐害行為(否認権の対象)」とみなされる可能性が極めて高いです。

本来であれば破産者が正当に得られたはずの財産(遺産)を意図的に手放し、債権者への配当を不当に減らす行為だからです。

これが発覚すると、破産管財人は遺産分割協議の効力を「否認」し、財産を取り戻そうとします。これにより、他の相続人を巻き込む更なる混乱が生じます。

さらに、破産者本人にとっては、この行為が悪質な財産隠しと判断された場合、「免責不許可事由」に該当し、借金が一切免除されない(=破産が失敗する)という最悪の結末を迎えるリスクがあります。

相続放棄をするという方法について、以下の記事に記載していますのでご参照ください。

相続人が「自己破産」している場合はどうなる?相続財産は誰のものになるのか。

借金の督促が厳しい場合の対処法

「管財事件が複雑なのは分かったが、今まさに借金の督促が厳しくて待てない」という方も多いでしょう。

その場合、まずは弁護士に自己破産(または債務整理)を依頼してください。弁護士が債権者に対し「受任通知」を送付することで、借金の取り立てや返済は(一時的に)ストップします。

これにより、差し押さえなどのリスクを回避し、時間的な余裕が生まれます。

その上で、弁護士が相続財産の状況(遺産の内容、評価額、他の相続人の意向)を正確に把握し、遺産分割協議をどのように進めるか、どのタイミングで破産を申し立てるのが最適かを法的に判断します。

遺産に不動産や会社が絡む場合

遺産の中に不動産(実家など)が含まれている場合、その評価額の算定、相続登記の必要性、売却(換価)の方法など、非常に専門的な判断が必要です。

また、亡くなった方が会社を経営していた場合、その株式や事業用資産、会社の負債(連帯保証)などが絡み合い、個人の破産手続きは一層複雑になります。

このようなケースでは、法務(弁護士)だけでなく、税務(税理士)や登記(司法書士)の知識が不可欠です。

まとめ

遺産分割協議中に自己破産を申立てることは可能ですが、原則として「管財事件」となり、破産管財人が遺産分割協議の当事者となります。

ご家族に迷惑をかけたくないというお気持ちは察しますが、不利な遺産分割協議は、財産隠しとみなされ、免責不許可という最悪の事態を招く危険な行為です。

相続と破産という複雑な問題が同時に発生した場合、ご自身の判断で行動する前に、必ず弁護士にご相談ください。特に、当事務所のように相続、登記、税務の知識を併せ持つ専門家であれば、ご家族への影響も考慮しながら、法的に最も安全な解決策をご提案できます。


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この記事の執筆者
弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店 横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士 中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野破産事件・不動産事件・相続事件・離婚事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員