「自己破産をすると、自分名義のクレジットカードは作れない…」
「でも、ネットショッピングや一部の支払いで、どうしてもカード決済が必要な場面がある…」
自己破産後、約5年~7年間はご自身名義のクレジットカードが持てなくなり、不便を感じる場面もあるかもしれません。そのような場合の有効な選択肢の一つとして、「家族カード」の利用が挙げられます。
結論として、自己破産をしたあなた自身が審査対象になるわけではないため、生計を同一にするご家族(配偶者や親など)が安定した収入をお持ちであれば、あなたが家族カードを持つことは可能です。ただし、その利用には、ご家族との信頼関係を損なわないための、いくつかの重要な注意点と守るべきルールがあります。
この記事では、家族カードが作れる仕組みと、利用する上での重大な注意点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
なぜ自己破産しても家族カードは作れるのか?
家族カードが作れる理由は、その審査の仕組みにあります。
家族カードは、安定した収入のある「本会員」の信用を基に発行される、付帯カード(子カード)です。クレジットカード会社が入会審査を行う際、審査の対象となるのは、あくまでカードの契約者である「本会員」の信用情報や返済能力です。
家族カードの利用者(あなた)の信用情報(ブラックリスト)が照会されることはないため、あなたが過去に自己破産をしたという事実が、家族カードの発行を妨げることはありません。本会員となるご家族の審査さえ通れば、カードは発行されます。
自己破産後に家族カードを利用する際の【3つの絶対ルール】
家族カードは便利なものですが、その利用は本会員であるご家族の信用の上に成り立っています。以下のルールを必ず守り、信頼関係を損なわないよう細心の注意を払う必要があります。
① 支払義務はすべて「本会員」にあることを決して忘れない
家族カードで利用した分の支払いは、本会員の口座からまとめて引き落とされます。法律上の支払義務は、すべて本会員が負います。あなたが使いすぎてしまい、本会員であるご家族への支払いが滞れば、今度はあなたを信頼してくれたご家族を、あなたが経済的に苦しめることになってしまいます。これは、自己破産で迷惑をかけた債権者との関係とは比較にならない、深刻な事態を招きかねません。
② 必ず本会員の同意を得て、利用ルールを厳格に決める
本会員に内緒で申し込むことは絶対にやめてください。必ず事情を話し、同意を得た上で申し込みましょう。そして、「毎月の上限額はいくらにするか」「本会員への支払いはいつ、どのように行うか」といった具体的な利用ルールを、ご家族との間で厳格に定めてください。
③ 本会員が支払不能になれば、家族カードも利用停止になる
万が一、本会員であるご家族が延滞などを起こせば、そのクレジットカードは利用停止となり、あなたの持つ家族カードも当然使えなくなります。家族カードの運命は、本会員の信用状態と一体であることを理解しておきましょう。
注意点:自己破産の「手続き中」の利用は慎重に
自己破産の申立て準備中や、裁判所での手続き中に家族カードを利用すること自体は、法律で禁止されているわけではありません。しかし、家族カードを使用していることが破産管財人や裁判官に明らかになった場合は、「反省していない」「依然として他人のお金に頼る生活をしている」といった心証を与えかねないため、免責手続きに慎重な判断が下されるリスクがゼロではありません。
やむを得ず利用する場合でも、食費や日用品など、生活に最低限必要な範囲に留めるべきです。手続きが完了し、免責が確定するまでは、なるべく現金やデビットカードでの生活を心がけるのが最も安全です。
家族カードは、自己破産後の不便を補う有効な手段ですが、それはご家族の厚意と信頼があって初めて成り立つものです。そのことを肝に銘じ、感謝の気持ちを持って責任ある利用を徹底してください。
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