「この預金口座だけなら、申告しなくてもバレないだろう…」
「自己破産の前に、車を妻の名義に変えてしまおう…」
少しでも多くの財産を手元に残したいというお気持ちは、痛いほど分かります。しかし、その軽い気持ちから財産隠しに手を染めることが、あなたの人生再建の道を完全に閉ざし、取り返しのつかない事態を招くということをご存知でしょうか。
自己破産は、誠実な債務者のための救済制度です。財産隠しは、その制度の根幹を揺るがす最も悪質な行為と見なされます。
この記事では、なぜ財産隠しは必ず発覚するのか、そして、その行為が招くあまりにも重い代償について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。この記事を読めば、財産隠しがいかに割に合わない危険な賭けであるかが、お分かりいただけるはずです。
「これくらいならバレない」が通用しない理由
「自分しか知らない財産だから大丈夫」という考えは、残念ながら通用しません。財産がある方の自己破産(管財事件)では、裁判所から中立な専門家である「破産管財人」が選任されます。破産管財人は、いわば「財産調査のプロ」であり、法律で与えられた強力な権限を駆使して、あなたの財産を徹底的に調査します。
- 預金口座の履歴調査:過去数年分のすべての銀行口座の取引履歴を取り寄せ、申立て直前の不自然な出金や送金がないかを金の流れとして把握します。
- 各種公的書類との照合:市区町村が発行する証明書には、不動産や給与所得の情報が記載されています。申告内容との矛盾はすぐに見つかります。
- 郵便物の確認:あなた宛の郵便物をチェックし、申告していない保険会社や証券会社からの通知書などを確認します。
このように、破産管財人の調査網から逃れることは、まず不可能です。
財産隠しが招く、あまりにも重い3つの代償
軽い気持ちで行った財産隠しが発覚した場合、あなたが支払うことになる代償は、あまりにも大きなものです。
代償1:借金が一切なくならない(免責不許可)
財産隠しは、自己破産の最大の目的である「免責(借金の免除)」が許可されない、最も典型的な理由(免責不許可事由)です。これが適用されると、手続きに費やした時間とお金はすべて無駄になり、借金は1円も減らないまま、自己破産をしたという記録だけが残るという、最悪の結末を迎えます。
代償2:家族や友人をトラブルに巻き込む(否認権行使)
もしあなたが、自己破産直前に不動産や自動車を家族や友人の名義に変更していた場合、破産管財人は「否認権」という強力な権利を行使します。これにより、その名義変更は法的に無効とされ、管財人は財産を譲り受けたご家族やご友人から、その財産を強制的に取り戻します。善意で協力してくれたはずの、大切な人を法的なトラブルに巻き込むことになるのです。
代償3:犯罪者になる(詐欺破産罪)
財産隠しは、単なる手続き上の違反ではなく、「詐欺破産罪」という名前の付いた、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科される可能性のある、紛れもない「犯罪行為」なのです。借金問題を解決するどころか、前科がつき、刑事罰を受けるという、人生を根底から覆す事態になりかねません。
そもそも財産を隠す必要はない
自己破産の法律は、あなたが無一文になることを求めていません。今後の生活再建のために、99万円以下の現金や、生活に不可欠な家財道具、一定額以下の預貯金や保険などを手元に残す「自由財産」の制度が手厚く認められています。特別な事情があれば、裁判所の許可を得て、さらに多くの財産を手元に残せる「自由財産の拡張」という道もあります。
法律で認められた範囲内で、あなたの財産を最大限守る。それが、私たち弁護士の仕事です。正直にすべてをお話しいただくことこそが、あなたの利益を守る唯一の道なのです。
当事務所は、皆様の複雑な自己破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。
②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
③ 報酬分割支払前でも速やかな対応
多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
自己破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。