「この家だけは、なんとか手放さずに済む方法はないだろうか…」
「自己破産をしたら、家族と暮らすマイホームを失ってしまうのだろうか?」
長年住み慣れたご自宅や、ご家族の思い出が詰まったマンションは、単なる資産以上の価値を持つ、かけがえのない場所です。自己破産を検討する上で、この持ち家がどうなるのかは、最も深刻で、最も知りたいことだと思います。
大変残念ながら、自己破産の手続きにおいて、一定以上の価値がある持ち家やマンションを手元に残すことは、原則として極めて困難です。しかし、なぜ残せないのか、そして、どのような代替策があるのかを正しく理解することが、ご家族の未来にとって最善の選択をするための第一歩となります。
この記事では、自己破産で持ち家が原則として処分される理由と、その具体的な流れ、そして「家を守る」ことを最優先にする場合の他の選択肢について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
なぜ持ち家は原則として手放さなければならないのか?
自己破産は、あなたの財産を法律に基づいてお金に換え(換価)、それを債権者に公平に分配(配当)する代わりに、残りの借金を免除してもらう手続きです。
持ち家やマンションは、通常、価値の高い「資産」と見なされます。この高価な資産をあなたの手元に残したまま、他の借金だけを帳消しにすることは、お金を貸した債権者にとって著しく不公平です。この「債権者平等の原則」に基づき、持ち家は換価・配当の対象となり、手放さなければならないのです。
持ち家がある場合、手続きは必ず破産管財人が選任される「管財事件」となります。
持ち家がある場合の自己破産手続きの流れ
ご自宅が処分される場合、一般的に以下の流れで手続きが進みます。
- 破産管財人による財産の調査・評価:管財人がご自宅の価値を査定します。
- 売却活動(任意売却または競売):まず、市場価格に近い値段で売却できる「任意売却」を目指します。買い手が見つからない場合は、裁判所による「競売」にかけられます。
- 債権者への配当:売却で得られたお金から、諸経費や住宅ローン残高を差し引いた分が、他の債権者へ配当されます。
- 自宅からの退去:売却先が決まれば、あなたは家を明け渡す必要があります。退去の時期については、破産管財人と協議の上、決定されます。
住宅ローンが残っている場合はどうなる?
住宅ローンが残っている場合でも、基本的には家を手放すという結論は変わりません。家の価値とローン残高の関係によって、処分の方法が少し異なります。
- アンダーローン(家の価値>ローン残高):家を売却したお金でローンを完済し、残ったお金が他の債権者への配当に回されます。
- オーバーローン(家の価値<ローン残高):家を売却してもローンを完済できません。この場合、抵当権を持つ金融機関が家を競売にかけるか、管財人が任意売却を進めることになります。
家を手元に残すための【極めて限定的な】方法と代替策
自己破産の手続きの中で家を残すのは極めて困難ですが、ゼロではありません。また、手続きの選択肢を変えることで、家を守れる可能性があります。
① 親族に買い取ってもらう(任意売却)
破産管財人が行う任意売却の際に、あなたの親族(親や兄弟など)に、市場の適正価格で家を買い取ってもらう方法です。これが成功すれば、あなたは買主となった親族に家賃を支払う形で、同じ家に住み続けることができるかもしれません。ただし、親族に十分な資金力があることが大前提となります。
②【最善の代替策】個人再生を検討する
「どうしても家だけは残したい」という場合、自己破産ではなく「個人再生」という手続きを選択するのが最も有効な手段です。
個人再生には、住宅資金特別条項を設けることによって家を残す制度があります。これは、住宅ローンはこれまで通り(あるいは金融機関と協議の上で返済計画を見直して)支払いを続け、それ以外の借金だけを大幅に(5分の1~10分の1程度に)減額してもらうという制度です。これにより、マイホームを守りながら、借金問題を解決できる道が開かれます。
もちろん、個人再生には安定した収入があることなど、利用するための条件があります。あなたの状況で利用可能かどうかは、弁護士にご相談ください。
当事務所は、皆様の複雑な自己破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。
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破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
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多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
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