「籍は入れていないけれど、長年連れ添ったパートナーがいる」
「自分が自己破産をすることで、内縁の妻(夫)の生活や財産に何か影響はあるのだろうか?」
法律上の婚姻届は出していなくても、夫婦同然の生活を営む「内縁関係」。そのパートナーが自己破産をする場合、法律婚の夫婦とは何か違う影響があるのか、多くの方が不安に思われます。
結論として、内縁関係であっても、パートナーの借金や信用情報に直接的な影響はありません。しかし、生計を同一にしている以上、財産関係については夫婦と同様、あるいはそれ以上に厳しく調査される可能性があります。
この記事では、自己破産が内縁のパートナーに与える影響と、法律婚の夫婦とは異なる注意点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
【原則】内縁関係でも「別人格」。直接の影響はない
法律上の婚姻関係の有無にかかわらず、自己破産はあくまで個人の手続きです。たとえ生計を共にする内縁のパートナーであっても、法律上は「別人格」として扱われるため、一方が自己破産をしても、もう一方に直接的な影響が及ぶことはありません。
- 内縁のパートナーの財産は守られる:パートナーが自身の収入で得た預貯金や、購入した車などが、あなたの自己破産によって処分されることはありません。
- 内縁のパートナーの信用情報に傷はつかない:あなたが自己破産をしても、パートナーがブラックリストに載ることはありません。パートナーは、これまで通りローンを組んだり、クレジットカードを作成したりできます。
- 内縁のパートナーの仕事にも影響はない:あなたの自己破産が原因で、パートナーの職場に連絡がいくようなことはありません。
要注意!「実質的にあなたの財産」と見なされるケース
「パートナー名義だから大丈夫」とは一概に言えないのが、財産問題の難しいところです。破産手続きでは、財産の名義だけでなく、その「実質」が厳しく問われます。
① 実質的な共有財産
例えば、お二人の収入を合わせて購入した家具や自動車など、実質的に「夫婦の共有財産」と見なされるものがある場合、その財産価値のうち、あなたが貢献した割合(通常は2分の1)が、あなたの「財産」として処分の対象となる可能性があります。
② 名義預金
あなたの収入から、パートナー名義の口座へ定期的にお金を移して貯蓄していたような場合、その口座はいわゆる「名義預金(実質的にはあなたの預金)」と判断される可能性があります。破産管財人は、預金の原資(誰のお金か)や、口座の管理状況(誰がキャッシュカードを持っていたか)などを調査し、実質的な所有者を判断します。これがあなたの財産と認定されれば、処分の対象となります。
内縁の妻・夫が「保証人」になっている場合は影響大
これは法律婚の夫婦と同じく、最も深刻な影響が及ぶケースです。もし、内縁のパートナーがあなたの借金の「連帯保証人」になっている場合、あなたが自己破産をすると、債権者は残債務の全額を、パートナーに対して一括で請求してきます。
これにより、パートナー自身も自己破産などの債務整理をせざるを得なくなる可能性が極めて高く、手続きの前に必ず話し合い、対策を講じる必要があります。
手続き上の協力は不可欠
自己破産の申立てでは、生計を同一にする世帯全員の家計状況を裁判所に報告する必要があります。そのため、内縁関係であっても、パートナーの給与明細や課税証明書といった書類の提出を求められます。
また、破産管財人との面談の際に、同居のパートナーとして、生活状況について質問を受けることもあります。このように、手続きを円滑に進めるためには、パートナーの協力が不可欠であり、内緒で手続きを進めることは事実上不可能です。
法律婚ではないからこそ、裁判所や管財人に誤解を与えないよう、関係性や財産の状況をより明確に説明する必要があります。曖昧な点を残さず、すべてを正直に弁護士に話していただくことが、スムーズな解決への第一歩です。
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