自己破産すると子供の奨学金の保証人になれない?
「自分が自己破産をしたら、子供が奨学金を借りる時に保証人になれないのだろうか?」
「破産したことが原因で、子供の進学に影響が出てしまったらどうしよう…」
「もし今、奨学金の保証人になっている状態で自己破産したらどうなる?」
このようなお悩みは横須賀・逗子葉山・三浦エリアのお客様からもよく相談されます。
ご自身の借金問題で、お子様の将来や進学の機会にまで影響が及ぶのではないかとご不安になるお気持ちは、痛いほどよく分かります。
自己破産の手続きと、奨学金の「保証人」になるための要件には、密接な関係があります。この点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
結論:自己破産後、一定期間は保証人になれません
結論から申し上げますと、自己破産の手続き(免責許可決定)が確定してから5年~10年の間は、お子様の奨学金の保証人(人的保証)になることはできません。
これは、奨学金の保証人に限らず、住宅ローンやカーローンなど、あらゆる「保証人」契約に共通して言えることです。
なぜ保証人になれないのか?
日本学生支援機構(JASSO)をはじめとする奨学金の貸与機関は、保証人を引き受ける人(この場合は親御様)に「万が一、子供が返済できなくなった場合に、代わりに返済できる能力があるか」を審査します。
この審査の際、貸与機関は必ず「信用情報機関(CIC、JICCなど)」に登録されている個人の信用情報を照会します。
自己破産をすると、その事実が「事故情報」として信用情報機関に登録されます(いわゆる「ブラックリスト」に載る状態)。この情報は、手続き後5年~10年間(機関によって異なる)は抹消されません。
奨学金の審査担当者が信用情報を照会した際に、この「自己破産」の記録を発見すると、「この人には(保証人としての)返済能力がない」と判断し、保証人として認めることはできません。
対処法:保証人になれない場合の選択肢
「では、親が自己破産したら子供は奨学金を借りられないのか?」と絶望する必要はありません。自己破産をされた方のお子様であっても、奨学金を利用する方法はちゃんと用意されています。
1. 「機関保証制度」を利用する
これが最も現実的かつ一般的な解決策です。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、保証の制度が2種類あります。
- 人的保証:親族(原則として父母)に「連帯保証人」と「保証人」になってもらう方法。
- 機関保証:一定の保証料を奨学金から差し引いて支払うことで、保証機関(公益財団法人日本国際教育支援協会)に保証をしてもらう方法。
この「機関保証」を選択した場合、親御様の信用情報は一切審査されません。(審査されるのは、奨学金を借りるお子様本人の情報のみです)
したがって、親御様が自己破産の手続き中であっても、手続き後であっても、お子様は問題なく奨学金を借りることができます。保証料はかかりますが、保証人を探す手間や精神的な負担がないため、近年は機関保証を選択するご家庭も増えています。
2. 自己破産をしていない配偶者や他の親族に依頼する
もし、ご夫婦のうち一方が自己破産し、もう一方(配偶者)が自己破産しておらず、安定した収入がある場合は、その配偶者が連帯保証人になることができます。
また、人的保証では「連帯保証人(原則として父または母)」のほかに、「保証人(4親等以内の親族)」も必要となります。この場合も、自己破産をしておらず収入要件を満たす他の親族(祖父母、おじ・おば等)に依頼することになります。
注意点:すでに保証人になっている状態で自己破産する場合
「これから保証人になる」のではなく、「すでに子供の奨学金の保証人になっている」状態で親御様が自己破産する場合は、全く異なる問題が発生します。
この場合、親御様が負っている「保証債務(子供が返せなかった時に払う義務)」も、自己破産の対象となる「借金」の一つとして扱われます。日本学生支援機構(JASSO)は、破産手続きにおける「債権者」となります。
手続きが完了し、免責が許可されれば、親御様の保証人としての支払い義務はなくなります。
しかし、JASSOは「保証人が支払い能力を失った」と判断し、奨学金を借りているお子様(主たる債務者)に対し、「別の保証人を立てる(保証人の変更)」よう要求します。
もし、代わりの保証人を立てることができない場合、JASSOから奨学金の貸与を打ち切られたり、場合によっては一括返済を求められたりするリスクもゼロではありません。
すでにお子様の保証人になっている方が自己破産を検討される場合は、このリスクをお子様にどう説明し、どう対処するか(機関保証への切り替えが可能かなど)を、必ず事前に弁護士と詳細に打ち合わせる必要があります。
まとめ
親御様が自己破産をした(する)という理由だけで、お子様が進学を諦める必要は全くありません。「機関保証制度」という、人的保証を必要としない仕組みが用意されています。
ただし、すでに保証人になっている場合は、お子様への影響(保証人の変更要求)が発生します。自己破産は、ご自身の生活を再建するための正当な権利ですが、こうした周囲への影響も考慮しながら、最適なタイミングと方法で手続きを進めることが重要です。
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「自分の破産が子供にどう影響するか不安…」「すでに保証人だけど破産できる?」など、奨学金に関する問題は非常にデリケートです。
横須賀・逗子葉山・三浦エリアで借金問題にお悩みの方は、ご家族への影響も含め、まずは当事務所の無料相談で弁護士に正直にお話しください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員


