「自己破産の手続き中も、生活のために仕事は続けなければならない…」
「その間に稼いだ給料やボーナスは、すべて取り上げられてしまうのだろうか?」
自己破産の手続きには数ヶ月の期間がかかります。その間の収入がすべて没収されてしまうのであれば、生活が成り立たず、人生の再スタートなど到底不可能です。手続き中の収入の扱いについて、不安に思うのは当然のことです。
ご安心ください。裁判所が「破産手続開始決定」を出した後に、あなたが働いて得た収入は「新得財産(しんとくざいさん)」と呼ばれ、原則としてすべてあなたのものになります。没収されたり、債権者への配当に回されたりすることはありません。
この記事では、あなたの生活を守るための重要なルールである「新得財産」の仕組みと、その基準となる「破産手続開始決定」のタイミングについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
「新得財産」とは?財産を分けるタイミングが最重要
自己破産の手続きでは、あなたの財産は、ある時点を境に2つに明確に分けられます。その境目となるのが、裁判所が「破産手続開始決定」を下した瞬間です。
- 破産手続開始決定「前」に所有していた財産
- これは「破産財団」と呼ばれ、原則として処分の対象となります。ここから法律で認められた「自由財産」(99万円以下の現金など)を差し引いたものが、債権者への配当に充てられます。
- 破産手続開始決定「後」に得た財産
- これが「新得財産」です。新得財産は、破産財団には含まれず、すべてあなたの自由な財産となります。あなたは、このお金を生活費や将来のための貯蓄に自由に使うことができます。
つまり、裁判所が開始決定を下した「〇年〇月〇日 午後〇時」という時刻を境に、それ以前の財産と、それ以後の財産とで、運命がはっきりと分かれるのです。
新得財産に含まれるものの具体例
では、具体的にどのようなものが新得財産にあたるのでしょうか。
- 開始決定後に受け取る給料や賞与(ボーナス)
- 開始決定後に開始した事業による収入
- 開始決定後に親族などから受けた贈与や援助金
- 開始決定後に発生した相続によって得た財産
なぜ新得財産は手元に残せるのか?
もし、手続き中の収入まで取り上げられてしまうと、あなたは家賃も食費も払えなくなり、生活が破綻してしまいます。自己破産の目的は、あなたを罰することではなく、借金問題をリセットして、経済的に更生(生活を立て直す)する機会を与えることにあります。
新得財産というルールは、あなたが手続き期間中も安定した生活を送り、免責後にスムーズな再スタートが切れるように、法律が認めた重要な仕組みなのです。
注意点:開始決定「前」の給料や財産の扱い
新得財産のルールには、いくつか注意すべき点があります。
新得財産を預ける銀行口座
開始決定後に受け取った給料は、必ず借金のない銀行の口座で受け取るようにしてください。もし、借入先である銀行の口座に給料が振り込まれると、銀行による「相殺」で引き出せなくなるリスクが残っています。弁護士に相談し、事前に給与振込口座を変更しておくことが重要です。
自由財産との関係
新得財産は、開始決定「前」の財産のうち手元に残せる「自由財産」(99万円以下の現金など)とは全く別のものです。つまり、あなたは「自由財産」と「新得財産」の両方を手元に残し、新しい生活を始めることができるのです。
当事務所は、皆様の複雑な自己破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。
②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
③ 報酬分割支払前でも速やかな対応
多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
自己破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。