「親から相続した実家があるけれど、自己破産をしたら手放さなければならないのか?」
「自己破産の手続き中に親が亡くなったら、相続はどうなるのだろう?」

借金問題と、ご家族からの相続の問題が重なってしまった場合、その法的な扱いは非常に複雑になります。「相続財産」という、ご自身の努力とは関係なく得た財産が、自己破産においてどのように影響するのか、多くの方が不安に思われています。

結論として、相続財産が自己破産で処分の対象となるかどうかは、主に「相続が発生したタイミング」によって決まります。また、相続をどうするかというあなたの選択によっても、結果は大きく変わります。

この記事では、自己破産と相続という専門的な問題について、相続のタイミング別に財産の扱いがどう変わるのか、そして財産を守るための「相続放棄」という選択肢について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

【大原則】相続財産も自己破産における「あなたの財産」

まず、基本的な考え方として、あなたが相続した財産(不動産、預貯金、株式など)は、法律上、他の財産と同じく「あなたの財産」として扱われます。そのため、価値のある相続財産は、原則として自己破産の手続きにおいて処分(換価)し、債権者への配当に充てなければなりません。

例えば、親から相続した実家も、ご自身で購入したマイホームと同様に、原則として手放すことになります。

【タイミング別】相続財産の具体的な扱い

相続財産が処分の対象となるかは、相続が発生した(被相続人が亡くなった)タイミングが、自己破産手続きのどの段階であったかによって決まります。

ケース1:自己破産の申立て「前」に相続した場合

これが最も一般的なケースです。申立ての時点で、あなたはすでに相続財産を所有しているため、その財産はすべて裁判所に申告する義務があります。価値の高い財産(不動産や20万円を超える預貯金など)があれば、手続きは「管財事件」となり、その財産は処分の対象となります。

ケース2:破産手続開始決定「後」に相続した場合

裁判所が「破産手続開始決定」を出した後に発生した相続によって得た財産は、「新得財産(しんとくざいさん)」と呼ばれます。新得財産は、破産手続において処分の対象とはならず、原則としてすべてあなたのものとして手元に残すことができます。

重要な選択肢「相続放棄」とは?

もし、自己破産の手続き前に相続が発生した場合や、手続き中に発生しそうな場合、相続財産を手放さずに済む有効な手段が「相続放棄」です。

相続放棄とは、家庭裁判所に申述することで、プラスの財産(不動産、預貯金など)もマイナスの財産(借金など)も、すべて一切受け継がないという意思表示です。相続を放棄すれば、その財産は法的に「初めからあなたの財産ではなかった」ことになるため、自己破産の手続きで処分されることもありません。

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相続放棄の注意点

  • 期限がある:相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。
  • すべてを放棄する:「実家だけ相続して、借金は放棄する」といった、都合の良い選択はできません。
  • 次の順位の相続人に影響が及ぶ:あなたが相続放棄をすると、相続権は次の順位の相続人(例えば、あなたの兄弟姉妹や、あなたの子ども)に移ります。必ず事前にご家族・ご親族と話し合うことが不可欠です。

自己破産と相続放棄は、どちらもご家族を巻き込む重大な法的手続きです。どちらを、どのタイミングで行うべきか、専門家である弁護士の判断が極めて重要になります。


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