「コツコツ積み立ててきた投資信託も、自己破産をしたらゼロになってしまうのか?」
「FXの失敗で作ってしまった借金は、自己破産で免責されないと聞いた…」
近年、NISAの普及などもあり、株式投資や投資信託、FX取引は非常に身近なものになりました。そのため、自己破産を検討される方の中には、これらの金融資産をお持ちの方や、逆に投資の失敗が借金の原因となってしまった方が多くいらっしゃいます。
結論として、保有している株式や投資信託、FXのポジションなどの金融資産は、原則としてすべて処分の対象となります。一方で、これらが原因で作った借金も、誠実に対応することで自己破産による免責(借金の免除)の対象となります。
この記事では、「資産として保有している場合」と「借金の原因である場合」という2つの側面から、自己破産の手続きにおいてこれらの金融資産がどのように扱われるのか、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
【資産として】保有する株式・投資信託・FXの扱い
あなたが保有している株式、投資信託、FXの建玉(ポジション)などは、すべてあなたの「財産」と見なされます。そのため、自己破産の手続きにおいては、原則としてすべて処分(解約・売却)し、現金化する必要があります。
手続きの流れ
- 管財事件となる:金融資産がある場合、その価値を調査・換価するため、手続きは破産管財人が選任される「管財事件」となります。
- 破産管財人による口座管理:あなたの証券口座やFX口座は、破産管財人の管理下に置かれます。
- 換価処分(現金化):管財人が、あなたの保有する株式や投資信託をすべて売却し、FXのポジションを決済して現金化します。
- 債権者への配当:現金化されたお金は、破産財団に組み入れられ、債権者へ公平に配当されます。
NISA口座で保有している資産も同様に処分の対象となります。ただし、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金などは、法律で差押えが禁止されているため、守ることができます。
価値が20万円以下なら残せる可能性も
預貯金や自動車などと同様に、株式などの金融資産も、その合計時価が20万円以下であれば、裁判所の判断で「自由財産」として手元に残せる場合があります。しかし、預貯金などとは異なり、容易に分割して換価できるため、価値が少額でも処分の対象となることが多いのが実情です。
【借金の原因として】投資の失敗は「免責不許可事由」
一方で、FXのレバレッジ取引や株式の信用取引など、投機的な取引の失敗によって多額の借金を作ってしまった場合、その行為は破産法で定められた「免責不許可事由」に該当します。
「免責不許可事由があると、破産しても借金はゼロにならない」と聞いて、絶望的に感じるかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早いです。
「裁量免責」により、ほとんどのケースで免責は許可される
免責不許可事由があったとしても、裁判官が、破産に至った経緯、本人の反省の度合い、手続きへの協力姿勢、今後の更生の意欲などを総合的に考慮し、「免責を許可することが相当である」と判断すれば、その裁量によって免責を許可してくれます。これを「裁量免責」と呼びます。
投資が原因の自己破産では、この裁量免責を得ることがゴールとなります。そのためには、破産管財人や裁判官に対し、ご自身の行為を真摯に反省し、生活再建への強い意欲を示すことが不可欠です。弁護士は、反省文の作成指導や、管財人との面談への同席などを通じて、あなたが裁量免責を得られるよう全面的にサポートします。
投資に関する自己破産の重要注意点
- すべての口座を正直に申告する:保有している証券口座やFX口座を隠す行為は「財産隠し」と見なされ、免責が許可されない最悪の事態を招きます。
- 手続き直前に勝手に売買しない:弁護士に依頼した後は、保有資産を売却したり、新たに取引を行ったりしてはいけません。すべての判断は、弁護士や管財人の指示に従ってください。
- 取引履歴などの資料を保管しておく:借金の原因が投資の失敗である場合、その経緯を客観的に示すため、過去の取引報告書などの資料は可能な限り保管しておきましょう。
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