「結婚を約束した大切なパートナーが、自己破産を考えている(または、手続き中である)」
「このまま結婚して、自分の財産や将来に何か不利益が及ぶのではないか…」
人生の最も幸せな時期であるはずの婚約期間中に、パートナーの借金問題が発覚した場合、その不安や戸惑いは計り知れません。相手を支えたい気持ちと、ご自身の将来への不安との間で、深く悩んでしまうのは当然のことです。
まず結論から申し上げますと、婚約者が自己破産をしたという事実が、あなたの財産や信用情報に直接影響を及ぼすことはありません。また、結婚を法的に妨げるものでも、もちろんありません。しかし、今後の生活設計を考える上で、知っておくべき現実的な影響と、入籍の最適なタイミングが存在します。
この記事では、婚約者の自己破産が結婚に与える影響と、お二人の未来のために賢明な選択をするためのポイントについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
結婚相手である「あなた」への直接的な影響はない
まず、法的な大原則として、自己破産はあくまで個人の手続きです。婚約者(や、結婚後の配偶者)であっても、別人格であるあなたの資産や信用に、法的な影響が及ぶことはありません。
- あなたの財産は守られます:あなたが個人で築いた預貯金や、所有する車などが、婚約者の自己破産によって処分されることは一切ありません。
- あなたの信用情報は傷つきません:婚約者が自己破産をしても、あなたがブラックリストに載ることはありません。あなたは、ご自身の信用でローンを組んだり、クレジットカードを作成したりすることが可能です。
- あなたが保証人でない限り、返済義務はありません:婚約者の借金の返済を、あなたが法的に求められることはありません。
【最重要】あなたが婚約者の借金の「保証人」なら話は別
唯一にして最大の例外は、あなたが婚約者の借金の「連帯保証人」になっているケースです。この場合、婚約者が自己破産をすると、債権者は残債務の全額を、保証人であるあなたに対して一括で請求してきます。これは、結婚前であっても関係ありません。もし、あなたが保証人になっている場合は、あなた自身も債務整理を検討する必要があるため、直ちに弁護士にご相談ください。
今後の生活設計への「間接的な」影響
直接的な影響はありませんが、お二人が共に生活を築いていく上で、以下のような間接的な影響は考慮しておく必要があります。
- 住宅ローンなどが組みにくくなる:自己破産後、約7年間は婚約者名義でローンを組むことができません。将来マイホームを購入する場合、ローンはあなた一人の収入と信用で組むことになり、借入可能額が希望に満たない可能性があります。
- 婚約者が保証人になれない:あなたがローンを組む際などに、婚約者に保証人になってもらうことは、一定期間できなくなります。
- 婚約者の財産は処分される:婚約者が持ち家や車などの資産を持っていた場合、それらは手続きで処分されるため、結婚後の生活の基盤として想定していたものが失われる可能性があります。
入籍のタイミングはいつがベスト?
自己破産の手続きと入籍のタイミングについては、慎重な判断が求められます。一般的に、私たちが推奨しているのは以下の順番です。
【推奨する順番】
婚約者の自己破産申立て → 裁判所の「破産手続開始決定」 → その後に入籍
なぜ「開始決定後」の入籍が望ましいのか?
自己破産の申立てでは、申立人の家計状況を明らかにするため、同居家族の収入資料(給与明細など)の提出を求められます。もし、申立ての前に入籍してしまうと、あなたは「配偶者」として、ご自身の収入状況などを裁判所に報告する必要が出てきます。
手続きが始まる前に独身であれば、申立てはあくまで婚約者個人の問題としてシンプルに進められます。裁判所から、婚約者であるあなたに資料の提出が求められることもなく、手続きにおけるあなたの負担や関与を最小限に抑えることができるのです。
もちろん、これはあくまで原則論であり、様々なご事情があるかと思います。最適なタイミングについては、弁護士があなたの状況を詳しくお伺いした上で、アドバイスいたします。
婚約者の借金問題は、お二人にとって最初の大きな試練かもしれません。しかし、これを正直に話し合い、専門家を交えて乗り越えることができれば、より強い信頼関係で結ばれた、新しい生活をスタートさせることができるはずです。
当事務所は、皆様の複雑な自己破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。
②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
③ 報酬分割支払前でも速やかな対応
多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
自己破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。