「夫婦ともに借金を抱え、家計も完全に一体化している…」
「夫(妻)が自己破産するなら、保証人になっている私も一緒に手続きした方が良いのだろうか?」

ご夫婦のどちらか一方だけでなく、お二人ともが返済の困難な借金を抱えているケースは少なくありません。このような場合、「夫婦で同時に自己破産をする」という選択が、最も合理的で効果的な解決策となることがあります。

結論として、夫婦が同時に自己破産を申し立てることは可能です。家計が一体となっているご夫婦の場合、同時に手続きを進めることで、費用を抑えられたり、手続きがスムーズに進んだりする大きなメリットがあります。

この記事では、夫婦で同時に自己破産をする場合の手続きの進め方、具体的なメリット、そして夫婦だからこそ特に注意すべき点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

「夫婦同時破産」の基本【個別の申立てが原則】

まず、大切な前提として、法律上「夫婦同時破産」という特別な制度があるわけではありません。自己破産の手続きは、あくまで個人単位で行われるものです。したがって、手続き上は、夫と妻がそれぞれ「個別の事件」として、裁判所に自己破産の申立てを行うことになります。

しかし、同じ法律事務所が代理人となり、同時に申立てを行うことで、裁判所はこれを「関連事件」として扱い、手続きを効率的に、そして柔軟に進めてくれることがほとんどです。これにより、次に述べるような様々なメリットが生まれるのです。

夫婦で同時に自己破産をする3つのメリット

① 弁護士費用を抑えられる可能性がある

夫婦で依頼する場合、多くの法律事務所では、お二人目の弁護士費用を割引する料金体系をとっています。これは、家計状況の資料が共通であるなど、弁護士の事務作業が一人分よりも軽減されるためです。当事務所でも、ご夫婦でのご依頼の場合は、費用面で配慮させていただいております。

② 裁判所に納める予納金を一本化できる場合がある

これは最大のメリットかもしれません。もし、ご夫婦のケースがどちらも破産管財人が選任される「管財事件」になった場合、通常であればそれぞれが予納金(少額管財で最低20万円~)を納める必要があります。つまり、2人分で40万円以上が必要になる計算です。

しかし、夫婦同時の申立てであれば、裁判所は一人の破産管財人を選任し、予納金も一人分(20万円~)で済ませてくれるという運用がなされることが多くあります。これにより、裁判費用を大幅に節約できるのです。

③ 手続きの手間が軽減され、スムーズに進行する

家計収支表や必要書類の収集など、世帯として共通する部分が多いため、準備の手間を一本化できます。また、裁判所や破産管財人への説明も、夫婦の状況を一体のものとして行うため、矛盾なくスムーズに進めることができます。

夫婦同時破産における注意点

① 夫婦間の財産の移動は厳しくチェックされる

自己破産を前に、夫名義の預金を妻の口座に移したり、妻が所有する不動産の持分を夫に移したりする行為は、典型的な「財産隠し」と見なされます。破産管財人は、夫婦間の不自然なお金の流れを厳しくチェックします。絶対に自己判断で財産を動かさず、ありのままの状態で弁護士にご相談ください。

② どちらか一方に免責不許可事由がある場合

例えば、夫の借金は事業の失敗、妻の借金は浪費やギャンブルが原因、といったケースです。この場合でも、審査はあくまで個人ごとに行われます。妻の浪費が原因で、夫の免責が認められなくなるということはありません。ただし、免責不許可事由のある方は、管財事件となり、より丁寧な手続きと反省の態度を示すことが求められます。

③ 自由財産の扱いは「それぞれ」

手元に残せる財産(自由財産)の基準は、世帯ごとではなく、個人ごとに適用されます。例えば、99万円以下の現金という基準は、夫が99万円まで、妻も99万円まで、それぞれ手元に残すことが可能です。

ご夫婦で借金問題に悩まれている場合は、お二人で一緒に無料相談にお越しください。ご家庭全体の状況を拝見し、同時申立てが最善か、あるいは別の方法が良いのかを、専門家の視点からアドバイスいたします。


当事務所は、皆様の複雑な自己破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。

①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験

1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。

②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応

破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。

③ 報酬分割支払前でも速やかな対応

多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。


自己破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。