借金500万円での自己破産は妥当か?個人再生・任意整理との比較

「借金が膨らみ続け、ついに総額500万円に達してしまった…」
「利息の返済だけで精一杯で、元金が全く減らない。もう自己破産しかないのだろうか?」
「借金500万円の場合、自己破産以外に何か選択肢は残っているのか?」
このようなお悩みは横須賀・逗子葉山・三浦エリアのお客様からもよく相談されます。借金総額が500万円というラインは、多くの方にとって、もはや自力での完済が極めて困難になる水準です。自己破産を現実的な選択肢として真剣に検討し始める方が多い一方で、家や車などの財産を失うことや、信用情報(ブラックリスト)への影響といった重いデメリットを考えると、最後の一歩が踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。
結論から言えば、借金500万円のケースは、ご自身の「収入状況」と「守りたい財産の有無」によって、「自己破産」と「個人再生」が現実的な選択肢となります。どちらを選ぶかによって、その後の生活再建の道のりは大きく変わります。
この記事では、借金500万円で自己破産は妥当なのか、もう一つの有力な選択肢である「個人再生」と比較した場合のメリット・デメリットについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
借金500万円で自力返済(任意整理)は可能か?
まず、債務整理の中で最もデメリットが少ない「任意整理」で解決できるか考えてみましょう。任意整理は、弁護士が債権者と交渉し、将来利息をカットしてもらい、残った元本(500万円)だけを分割で返済する手続きです。
一般的に、分割返済の期間は最長で5年(60回)です。
【500万円を任意整理した場合の返済シミュレーション】
- 5年(60回)で返済する場合:
500万円 ÷ 60回 = 月々 約83,400円 - 3年(36回)で返済する場合:
500万円 ÷ 36回 = 月々 約138,900円
任意整理は裁判所を通さないため、財産処分や資格制限といったデメリットはありません。しかし、借金500万円となると、利息をカットできたとしても、月々8.4万円~13.9万円という高額な返済を、家賃や生活費とは別に5年間も捻出し続ける必要があります。
これは多くの方にとって非現実的な金額であり、借金500万円の段階では、任意整理での解決は困難なケースがほとんどです。
借金500万円の現実的な選択肢:「自己破産」と「個人再生」
任意整理での返済が困難な場合、裁判所を通じた法的手続きである「自己破産」と「個人再生」が現実的な選択肢となります。
選択肢1:個人再生(借金を100万円に圧縮し返済)
個人再生は、裁判所に申立てを行い、借金を大幅に圧縮してもらう手続きです。借金500万円の場合、法律上の最低弁済額(最低限返済すべき金額)は「100万円」となります。(※総債権額100万円以上500万円以下の場合)
この圧縮された100万円を、原則3年(最長5年)で分割返済していきます。
【500万円が100万円に圧縮された場合の返済シミュレーション】
- 3年(36回)で返済する場合:
100万円 ÷ 36回 = 月々 約27,800円 - 5年(60回)で返済する場合:
100万円 ÷ 60回 = 月々 約16,700円
【個人再生が妥当なケース】
個人再生の最大のメリットは、住宅ローン返済中のマイホームを手放さずに済むことです。また、自己破産のような職業制限も(一時的なものはありますが)ほとんどありません。
したがって、「安定した収入があり、月々1.7万~2.8万円の返済なら可能」であり、特に「家や高価値な車など、失いたくない財産がある」方にとっては、個人再生が最も妥当な選択となります。
選択肢2:自己破産(借金をゼロにする)
自己破産は、裁判所の許可(免責決定)を得て、借金500万円の支払い義務を原則すべて免除(ゼロに)してもらう手続きです。
【自己破産のメリット】
最大のメリットは、返済義務そのものがなくなるため、最も早く生活をゼロから立て直せることです。精神的な負担からも解放されます。
【自己破産のデメリット】
一方で、家や車(価値が20万円以上)、高額な生命保険、99万円を超える現金など、一定以上の財産は処分(換価)され、債権者への配当に充てられます。また、手続き中は警備員や保険外交員など一部の職業に就けなくなります(資格制限)。
【自己破産が妥当なケース】
個人再生の最低返済額(月1.7万円~)すら捻出することが困難な(=支払不能な)場合は、自己破産が妥当な選択となります。また、病気や失業、高齢などで安定収入の確保が難しい場合や、「特に守るべき高額な財産(家など)はない」という方にとっては、無理に返済を続ける個人再生よりも、自己破産でリセットする方が合理的な場合があります。
借金の原因(ギャンブル・浪費)と手続きへの影響
借金500万円の原因がもし「ギャンブル(パチンコ、競馬、FXなど)」や「浪費(ブランド品、風俗、ソシャゲ課金など)」であった場合、手続きの選択に影響が出ることがあります。
- 自己破産の場合:
ギャンブルや浪費は「免責不許可事由」に該当し、原則として免責(借金ゼロ)が認められません。しかし、実務上は、弁護士のサポートのもと、破産管財人(裁判所が選任)の調査に誠実に協力し、反省の意を示すことで、裁判所の裁量により免責が許可される「裁量免責」となるケースがほとんどです。
ただし、この場合、手続きは破産管財人が選任される「管財事件」となり、裁判所に納める予納金が(同時廃止事件に比べ)最低20万円以上、追加で必要となります。 - 個人再生の場合:
個人再生は、借金の原因(ギャンブルや浪費)を問いません。そのため、免責不許可のリスクがある自己破産を避け、個人再生を選択するというケースもあります。
結論:借金500万円で妥当な手続きは?
借金500万円の場合、ご自身の状況によって妥当な手続きは以下のように分かれます。
【個人再生が妥当な方】
- 安定収入があり、月々1.7万~2.8万円程度の返済が可能
- 住宅ローン中のマイホームなど、どうしても守りたい財産がある
- ギャンブルや浪費が原因で、自己破産の免責不許可リスクを避けたい
【自己破産が妥当な方】
- 安定収入がなく、月1.7万円の返済も困難(支払不能)
- 守るべき高額な財産(特に家)がない
- 病気や高齢などで、今後3~5年の継続的な返済が難しい
借金500万円の段階では、安易に「もう破産しかない」と決めつけず、ご自身の状況(収入、財産、借金の理由)を弁護士に正確に伝え、「個人再生」という選択肢も含めて最適な解決策を検討することが非常に重要です。
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広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員