借金300万円での自己破産は妥当か?個人再生・任意整理との比較
「借金が膨らみ、総額が300万円に達してしまった…。」
「毎月の返済が5万円を超え、生活が回らない。自己破産をすべきだろうか?」
「300万円だと、自己破産以外の選択肢もあるのだろうか?」
このようなお悩みは横須賀・逗子葉山・三浦エリアのお客様からもよく相談されます。借金総額300万円は、多くの方にとって自力での返済が困難になり始める一つの大きなラインです。自己破産を真剣に検討する一方で、財産を失うことや信用情報への影響(ブラックリスト)といったデメリットを考えると、決断をためらわれる方も多いでしょう。
結論から言えば、借金300万円のケースは、ご自身の収入状況によって「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つの手続きのいずれもが選択肢に入り得る、非常に重要な分岐点です。どの手続きを選ぶかによって、その後の生活再建の道のりは大きく変わります。
この記事では、借金300万円で自己破産は妥当なのか、他の手続きと比較した場合のメリット・デメリットについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
借金300万円でも自己破産は「可能」
まず、自己破産の手続きが開始されるための法律上の要件は、借金の「金額」ではなく、その人が「支払不能」の状態にあるかどうかです(破産法第15条)。
「支払不能」とは、その人の収入、資産などを総合的に見ても、客観的に借金を一般的・継続的に返済し続けることができない状態を指します。
したがって、借金が300万円の場合、
- 病気や失業などで収入が全くない、または著しく低い
- 収入(例:手取り18万円)から家賃や最低限の生活費、光熱費、養育費などを引くと、返済に充てるお金が残らない
といった状況であれば、「支払不能」と認められ、自己破産の申立ては可能です。
重要なのは「妥当性」:他の債務整理手続きとの比較
借金300万円のケースでは、自己破産が法律上「可能」だとしても、それが「妥当(ご自身にとって最適)」とは限りません。特に、安定した収入が(たとえパートやアルバイトでも)ある場合は、デメリットの少ない他の選択肢を検討すべきです。
判断の基準は、「毎月いくらまでなら返済原資を捻出できるか」です。
選択肢1:任意整理(将来利息をカットし、元本300万円を返済)
任意整理は、弁護士が債権者(貸金業者)と交渉し、将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらい、残った元本(300万円)だけを3年~5年(36回~60回)の分割で返済していく手続きです。
【300万円を任意整理した場合の返済シミュレーション】
- 3年(36回)で返済する場合:
300万円 ÷ 36回 = 月々 約83,400円 - 5年(60回)で返済する場合:
300万円 ÷ 60回 = 月々 50,000円
【結論】
任意整理は裁判所を通さないため、財産処分や資格制限、官報掲載がありません。もし月々5万円~8万円程度の返済が可能であれば、デメリットが最も少ない任意整理が妥当です。
選択肢2:個人再生(借金を100万円に圧縮し返済)
個人再生は、裁判所を通じて、借金を大幅に圧縮してもらい、残額を原則3年(最長5年)で分割返済する手続きです。自宅等の一定の財産を残せるのがメリットとなります。
借金300万円の場合、法律上の最低弁済額(最低限返済すべき金額)は「100万円」となります。
【300万円が100万円に圧縮された場合の返済シミュレーション】
- 3年(36回)で返済する場合:
100万円 ÷ 36回 = 月々 約27,800円 - 5年(60回)で返済する場合:
100万円 ÷ 60回 = 月々 約16,700円
【結論】
任意整理の月5万円は無理だが、月1.7万円~2.8万円なら返済できるという方には、個人再生が非常に有効です。特に「住宅ローン中のマイホームを残したい」という場合は、個人再生が唯一の選択肢となることが多いです。
選択肢3:自己破産(借金をゼロにする)
自己破産は、裁判所の許可(免責決定)を得て、借金の支払い義務を原則すべて免除してもらう手続きです。
【結論】
個人再生の最低返済額(月1.7万円~)すら捻出することが困難な(=支払不能な)場合は、自己破産が妥当な選択となります。病気や失業、高齢などで安定収入の確保が難しい場合は、無理に返済を続けるよりも、自己破産でリセットし、生活保護の申請なども視野に入れて生活を立て直すことが最優先です。
自己破産の費用と「免責不許可」のリスク
自己破産を選択する際には、費用とリスクも考慮しなければなりません。自己破産には弁護士報酬のほか、裁判所に納める実費が必要です。
さらに、もし借金300万円の原因が「ギャンブル(パチンコ、競馬、FXなど)」や「浪費(ブランド品の購入、風俗、ソシャゲ課金など)」である場合、それは「免責不許可事由」に該当します。
「免責不許可事由」があると、裁判所は借金を免除しない(=破産が失敗する)可能性があります。ただし、実務上は、弁護士が付き、破産管財人(裁判所が選任)の調査に誠実に協力・反省することで、最終的に免責が許可される「裁量免責」となるケースがほとんどです。
しかし、この場合、手続きは破産管財人が選任される「管財事件」となり、裁判所に納める予納金が(同時廃止事件に比べ)最低20万円以上、追加で必要となります。
結論:借金300万円で妥当な手続きは?
借金300万円の場合、ご自身の「毎月の返済可能額」によって、妥当な手続きは以下のように分かれます。
- 月5万円以上の返済が可能 → 任意整理(デメリット最小)
- 月5万円は無理だが、月1.7万~2.8万円なら可能 → 個人再生(借金を100万円に圧縮)
- 月1.7万円の返済も不可能 → 自己破産(支払不能)
どの手続きがご自身の状況(収入、財産、借金の理由)に最適なのかを正確に判断し、不利なく手続きを進めるためには、債務整理の経験豊富な弁護士への相談が不可欠です。
当事務所は、皆様の複雑な破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
① 1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。
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多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
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広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員


