個人事業主・自営業者の自己破産|手続きの流れと事業資産の行方

自らの才覚と努力で事業を切り盛りする個人事業主や自営業者の方は、自由とやりがいを手にされている一方、事業の不振が即座に生活の困窮に直結するという、会社員にはない厳しいリスクを常に背負っています。資金繰りの悪化、売上の減少、取引先の倒産…。一度歯車が狂うと、事業の借金と個人の生活費の借金が渾然一体となり、あっという間に返済不能な状態に陥ってしまいます。
このような状況に陥ったとき、自己破産は事業と生活の両方をリセットし、再出発を図るための強力な法的手段です。しかし、その手続きは会社員の場合とは大きく異なり、特有の注意点が数多く存在します。この記事では、個人事業主・自営業者の方が自己破産をする際の手続きの流れと、必ず押さえておくべきポイントについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
個人事業主の自己破産:事業と個人を一体で整理
個人事業主の自己破産における最大の特徴は、事業に関する資産・負債と、個人(プライベート)の資産・負債が、法的に一切区別されないという点です。株式会社などの「法人」は経営者個人とは別人格ですが、「個人事業主」はあくまで個人です。
そのため、自己破産の手続きでは、以下のものがすべて一つの手続きの中で清算の対象となります。
- 事業の資産:店舗・事務所の保証金、機械・設備、在庫商品、売掛金など
- 個人の資産:自宅(持ち家)、預貯金、生命保険、自動車など
- 事業の負債:事業資金の借入金、仕入れ代金の未払(買掛金)、事務所の滞納家賃など
- 個人の負債:住宅ローン、カードローン、自動車ローンなど
一つの手続きで、事業と個人の借金問題を同時に解決できる、これが個人事業主の自己破産の基本です。
手続きは原則「管財事件」に。破産管財人が財産を管理
個人事業主の場合、事業用の資産があったり、取引先(債権者)が多数にのぼったりと、財産や法律関係が複雑になるため、自己破産の手続きは原則として「管財事件」となります。
管財事件とは、裁判所が「破産管財人」という中立な立場の弁護士を選任し、その破産管財人があなたの財産を調査・管理・売却(換価)し、債権者へ公平に分配(配当)する手続きです。あなたの財産は、一時的に破産管財人の管理下に置かれ、ご自身で勝手に処分することはできなくなります。
事業用資産と契約はどうなる?必ず押さえるべき重要点
管財事件において、事業に関する資産や契約は以下のように扱われます。
在庫・設備・備品など
事業で使っていた機械、パソコン、商品在庫などは、破産管財人によって原則としてすべて売却され、その代金は債権者への返済に充てられます。これにより、事業の継続は事実上不可能となります。しかしながら、事業に必要最低限の道具や備品等は残せる可能性がありますので、詳しくは弁護士にご相談ください。。
最も注意すべき「売掛金」
取引先に対してまだ回収できていない代金、つまり「売掛金」も、あなたの重要な財産です。自己破産の手続きが始まると、この売掛金を回収する権利は破産管財人に移ります。あなたが自分で取引先から回収することは、財産隠しとみなされかねない危険な行為ですので、絶対にしてはいけません。回収はすべて破産管財人が行います。
店舗・事務所の賃貸借契約
家賃の発生を止めるため、店舗や事務所の賃貸借契約は、破産管財人によって通常は解約されます。敷金が残っていれば、原状回復費用を差し引いた分が回収され、配当の原資となります。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③ 報酬分割支払前でも速やかな対応
多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
自己破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
個人事業主・自営業者の自己破産は、廃業という辛い決断を伴いますが、それは同時に、事業と個人の借金すべてから解放され、ゼロから人生を再出発するための最も確実な方法でもあります。手続き完了後、再び事業を始めることも、会社員として働くことも、もちろん自由です。複雑な手続きは、私たち専門家にお任せください。あなたの再出発を、全力でサポートします。
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広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員