「住宅ローンの返済だけでも大変なのに、カードローンなどの他の借金も膨らんでしまった…」
「このままでは、すべてが破綻してしまう。でも、自己破産したら家や保証人はどうなるのだろう?」

住宅ローンという大きな負債を抱えながら、他の借金問題にも直面し、自己破産を考えざるを得ない状況は、精神的に極めて大きな負担となります。特に、ご家族と暮らすマイホームや、保証人になってくれた方への影響は、最も心配な点だと思います。

住宅ローン返済中に自己破産をする場合、残念ながらご自宅は原則として手放すことになります。そして、それ以外にも、事前に知っておくべき重要な注意点がいくつかあります。特に、住宅ローンの保証人になってくれているご家族やご親族がいる場合、あなたが自己破産をすると、その方に一括請求がいくという重大な影響が及びます。

この記事では、住宅ローン返済中に自己破産をする際の具体的な注意点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。正しい知識を得て、ご自身とご家族にとって最善の選択をするための準備をしましょう。

注意点1:持ち家は必ず手放すことになる

自己破産の手続きにおいて、持ち家(不動産)は価値の高い「資産」と見なされるため、原則として処分(売却)の対象となります。これは、その売却代金を債権者へ公平に配当するためです。

住宅ローンを組んでいる不動産には、金融機関の「抵当権」が設定されています。自己破産の手続きが始まると、この抵当権に基づき、最終的には破産管財人または金融機関主導で、ご自宅は任意売却や競売にかけられ、第三者の手に渡ることになります。

注意点2:住宅ローンだけを支払い続けることはできない

「家を守るために、住宅ローンだけは支払い続けて、他の借金だけを自己破産したい」と考える方がいらっしゃいますが、これは認められません。

自己破産には「債権者平等の原則」という大原則があり、すべての債権者を平等に扱わなければなりません。住宅ローンの貸主である銀行も、カード会社などと同じ「債権者」です。特定の債権者(銀行)にだけ返済を続ける行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」という禁止行為にあたり、免責が許可されない(借金がゼロにならない)原因となります。

個人再生という別の手続きであれば住宅ローンだけを支払い続けて家を残せる可能性がありますので、弁護士にご相談ください。

注意点3:保証人(連帯保証人・連帯債務者)への影響

これが最も慎重な対応が求められる点です。あなたが自己破産をして住宅ローンの支払義務が免除されても、ローンの契約自体がなくなるわけではありません。金融機関は、残ったローン全額を、連帯保証人や連帯債務者に対して「一括で」請求します。

数千万円にも及ぶ残債務を一括で請求されれば、保証人となったご家族やご親族も、自己破産などの債務整理をせざるを得なくなる可能性が極めて高いです。保証人がいる場合は、必ず事前に事情を話し、弁護士を交えて今後の対応を一緒に協議する必要があります。

注意点4:手続きは必ず費用と時間がかかる「管財事件」になる

不動産という高価な資産を所有しているため、その調査・処分を行う破産管財人が選任される「管財事件」という手続きになります。簡易な「同時廃止事件」にはなりません。

これにより、裁判所に納める予納金が最低でも20万円以上必要になり、手続き期間も半年~1年以上と、同時廃止に比べて長期化します。

注意点5:オーバーローンの場合の「残債務」の扱い

家の売却価格よりも住宅ローンの残高の方が多い「オーバーローン」の状態でも、家は手放すことになります。しかし、家を売却しても残ってしまったローン残債(例えば、家が1500万円で売れ、ローンが2000万円残っていた場合の差額500万円)は、他の借金と同様に自己破産による免責の対象となります。つまり、あなたがその残債を支払う必要はなくなります。これは自己破産の大きなメリットの一つです。

注意点6:家を守りたい場合の最善策は「個人再生」

もし、あなたの最大の希望が「マイホームを守ること」であるならば、選択すべき手続きは自己破産ではないかもしれません。その場合の最も有効な手段が「個人再生」です。

個人再生の「住宅ローン特則」という制度を利用すれば、住宅ローンはそのまま支払いを続け、それ以外の借金だけを大幅に(5分の1~10分の1程度に)圧縮することが可能です。安定した収入があるなどの条件はありますが、家を手放さずに借金問題を解決できる可能性があります。どちらの手続きがご自身に適しているか、弁護士とじっくり相談しましょう。


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1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。

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