任意整理後の自己破産は可能か?方針変更のタイミングと注意点

将来の利息をカットし、無理のない分割返済計画を立てる「任意整理」。しかし、手続き後に予期せぬ失業や病気、収入の減少などに見舞われ、「和解した内容の返済すら、続けるのが難しくなってしまった」と、再び追い詰められてしまう方がいらっしゃいます。
一度は任意整理で解決を目指したものの、状況が悪化してしまった場合、そこから「自己破産」へと方針を切り替えることはできるのでしょうか。この記事では、任意整理から自己破産への移行の可否と、その際に生じる注意点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
結論:任意整理後の自己破産は「可能」です
まず、明確な結論から申し上げますと、任意整理で返済を続けている途中であっても、その返済が困難になった場合には、自己破産の手続きに切り替えることは全く問題なく可能です。任意整理をしたからといって、その後に自己破産を申し立てることを制限する法律はありません。
無理をして返済を続け、さらに状況を悪化させるよりも、ご自身の経済状況の変化に応じて、より適切な債務整理の方法へと見直すことは、生活を再建するための、賢明で正当な判断です。
なぜ、任意整理から自己破産への切り替えが必要になるのか?
任意整理は、将来利息はカットされるものの、借金の元金そのものは返済し続けなければなりません。当初は返済可能だと考えて和解を結んでも、以下のような予期せぬ事態によって、その計画が破綻してしまうことがあります。
- 会社の倒産やリストラによる失業
- 病気やケガによる休職、収入の減少
- 家族の介護などによる、予期せぬ支出の増大
- そもそも、当初の返済計画に無理があった
任意整理から自己破産へ切り替える際の3つの注意点
方針を切り替えること自体は可能ですが、最初から自己破産を選択した場合とは異なる、いくつかの注意点があります。
① これまで返済したお金は戻ってこない
任意整理の和解に基づいて、これまで返済してきたお金は、自己破産に切り替えたからといって、戻ってくることはありません。自己破産は、あくまで申立て時点での残債務を免除する手続きです。「最初から自己破産しておけば、あの返済分を生活費や弁護士費用に充てられたのに」ということになりかねません。
② 弁護士費用が二重にかかる可能性がある
任意整理を依頼した弁護士と、自己破産を依頼する弁護士が異なる場合、それぞれに費用が発生し、総額が高くなってしまう可能性があります。任意整理後の返済が苦しくなったら、まずは任意整理を依頼した弁護士に、今後の見通しについて相談するのが最も効率的です。
③ 任意整理の対象から外していた債権者も、全て対象になる
任意整理では、「保証人がいる借金」や「自動車ローン」などを手続きの対象から外すことができます。しかし、自己破産は、全ての債権者を平等に扱わなければならない「債権者平等の原則」が厳格に適用されるため、全ての借金を対象に含めなければなりません。これにより、保証人への請求や、自動車の引き揚げといった、任意整理では避けられた影響が発生することになります。
当事務所は、皆様の複雑な破産・債務整理問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの破産・債務整理案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、ギャンブルや浪費が原因の借金等の困難事情でも最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
破産問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③ 報酬分割支払前でも速やかな対応
多くの法律事務所では、報酬支払後に手続を行いますが、当事務所では、報酬支払い前でも内部審査で問題が無ければ速やかに手続を進めます。
破産・債務整理にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
任意整理後の返済が困難になったとき、最も危険なのは、誰にも相談できずに返済を滞納し、最終的に給与の差し押さえなどを受けてしまうことです。状況の変化に応じて、より適切な解決策へと柔軟に方針を切り替えることは、決して「失敗」ではありません。あなたの人生を再建するための、前向きな決断です。返済が苦しいと感じたら、一日も早く、私たち専門家にご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年9月3日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員