奨学金と生活費借入で困窮した若手社会人の債務整理事例

ご相談の背景
ご相談者は、新社会人として働き始めたばかりの20代の男性です。在学中に借り入れた奨学金の返済に加え、一人暮らしを始める際の生活費が不足し、カードローン等も利用されていました。
ご相談時の手取り月収18万円に対し、奨学金とローンの返済が月々9万円を占めており、生活は極めて困窮していました。ご実家からの援助も難しい状況で、「この先どうやって生きていけばいいのか」と、将来に全く希望を見出せない状態で当事務所を訪れました。
ご相談者様の状況(まとめ)
年代 | 20代 |
---|---|
性別 | 男性 |
職業 | 会社員 |
借金の理由 | 奨学金返済、一人暮らし開始時の生活費不足 |
弁護士の対応と解決結果
ご本人の経済状況と将来設計を考慮し、自己破産手続きによってリセットを図ることが最善と判断しました。手続きは、迅速に進められる「同時廃止事件」として申立てを行いました。
奨学金の整理で懸念されるのが、親族など保証人への影響です。幸い、ご依頼者様の奨学金は、保証会社が保証する「機関保証」制度を利用されていました。これにより、ご親族に一切迷惑をかけることなく、ご自身の問題として手続きを完結させることができ、無事に免責許可決定が下りました。
ご依頼者様は借金から解放され、「社会人として早い段階で破産でき、これからは計画的に貯蓄を始められるのが本当にありがたい」と、前向きな気持ちで新たな一歩を踏み出されています。
債務整理前後の比較
項目 | 債務整理前 | 債務整理後 |
---|---|---|
借金総額 | 約320万円 | 0円 |
月々の返済額 | 9万円 | 0円 |
本事例のポイント:奨学金の保証制度の確認を
「自己破産をすると、奨学金の保証人になっている親に請求が行ってしまう」という心配から、ご相談をためらう方は非常に多くいらっしゃいます。
しかし、本事例のように、保証料を支払って保証会社に保証を依頼する「機関保証」を利用している場合、自己破産をしても保証会社が代わって返済(代位弁済)するため、ご両親など親族に直接の請求がいくことはありません。
奨学金の問題は、若い方の人生を大きく左右する深刻な問題です。ご自身の奨学金がどちらの保証制度になっているかを確認し、返済が困難だと感じたら、できるだけ早く弁護士にご相談ください。早期に解決することで、その後の人生をより豊かに設計することが可能になります。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員